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Home >marketing Home >Wine Talk このページは、【marketing】【Wine Talk】の両セクションに掲載されています。 ワイン業界の人材育成の重要性と必要性 ひとくちにワインの仕事と言ってもその守備範囲は非常に広く、本来は、それぞれの分野では高度な専門性が要求されます。 ワインの仕事として大雑把に挙げてみても、ぶどうの栽培・ワインの醸造という生産の分野がありましょうし、消費者の皆様に直接ワインを提供する販売の分野もあります。またワイン生産者と販売者をつなぐインポーターをはじめとした中間流通も、ワイン業界にはなくてはならない仕事です。 さらにその周辺には、たとえばワインを学術的に研究している人たちがいますし、ワインの樽やタンク、ポンプやプレスの装置や機材などを開発・製造販売する人たちもいますし、ワインライターや評論家など、メディアで活躍する方々もおられます。 ワイン業界というのは、さまざまな専門性を持った人たちの活躍の場であるわけですが、ことに日本においては、マーケットにおられて実際にワインを売買する方々の比率が圧倒的に多いと言ってよいと思います。 日本には非常に優良なワイン消費者がとても多く存在しています。その世界に例を見ないほどの優良な消費者にワインを届けているのが、インポーター・中間流通・小売業者・レストラン、バーなどの料飲店の皆さんです。 マーケットにおられる方々は、ワインを提供していくという重要な仕事をされているわけですが、一方でワインの飲み手である消費者からは、なかなか良いワインにありつけないという声も非常に多く聞かれます。 今回はこのあたりの日本のワインマーケットが持つ根源的・潜在的な問題を考えてみたいと思います。 日本のワインマーケットの現況 現在日本人の一人当たりの年間ワイン消費量は2リットル台です。これは世界統計では100位程度となっています。(脚注1)また、日本全体の年間ワイン消費量は、世界で20位程度です。〈脚注2〉日本は、一人当たりのワイン消費量は少なくても、人口が多いので、全体の消費量では多くなります。 統計上の数字はそうなっています。1997年から1998年にかけて起こった、赤ワインブームでは、一時的に消費量の急増を見せましたが、そのブームが沈静化した後は、元に戻ってしまい、それ以降10年以上にわたって日本のワイン消費の劇的あるいは漸増のトレンドはありません。 さてでは日本ではもうこれ以上ワインの需要は見込めないのか。ここが大きなポイントです。 私は何度も指摘していますが(脚注3)、日本の消費者がワインを買って飲みたいという潜在需要は、とても大きいものがあると見ています。しかし、それが具現化されないのはなぜか。なぜワインを買いたい・飲みたいと思っている多くの消費者がワインを買って飲んでいないのか。 これは、ワインを買わない消費者が悪いのでは決してありません。あえて厳しい言い方をさせていただきますと、これはワインを販売・提供する側にかなり問題があるように思います。つまりワインの供給側が、うまくワインをマーケットに配下できていないため、消費者がワインにアクセスできないでいると見てよいと思います。 ワインの販売は、マスマーケットを対象とした市場の大多数を占める消費財と違い、個々の消費者の嗜好にあった商品を個別にお薦めするという、専門性の高い能力が要求されますから、そのレベルが高くないと結果としてワインは売れないということになります。 このことは、小売業やレストラン・バーなどの料飲店に限ったことではありません。ワインのインポーター・中間流通にも全く同じことが当てはまります。特に、インポーターの皆様には、高い能力が必要とされると思います。 消費者の側から見ると、欲しいワインつまり自分の好みに合ったワインなら喜んで買うけれども、それが提供されないので買うわけにはいかないということになります。これは消費行動として至極当然のことです。 もしここで、マーケットの方々がもう少しその能力を発揮していただけたとしたらどうでしょう。消費者の多くは、ワインをもっと楽しく積極的にお買いになることでしょう。 そうした環境を、ワインのマーケットに広めていくためには、ワイン流通の各段階で優秀な人材が求められます。その意味で、ワイン業界における人材の育成の重要性と必要性の認識は、日本のワインマーケットの浮沈に関わる根源的な非常に重要な課題だと思います。 そうした人材が日本のワインマーケットにたくさんあれば、ワインの売上は確実に増えていくと確信します。 ちょっと耳の痛い話 昨今は海外のワイン生産者が多く来日するようになりました。ワインの生産部門(ぶどうの栽培やワインの醸造)の方もあれば、マーケティング部門の方もあります。どちらかと言うとマーケティング担当の方が多いようにお見受けしますが。 初めて来日される方もあれば、頻繁に来日されている方もおられます。いずれにしても彼らは、ワインの専門家で日本の市場に大きな期待をかけていることには違いありません。(ごくまれに、専門家とはいえないような方もおいでではありますが) 彼らのほとんどが賞賛するのは、日本のワイン消費者についてです。彼らの多くは、日本の消費者はとてもワインに熱心で、しかも品質をきちんと理解する優れた消費者達だと言っています。私もこの意見には全く同意します。 ところがワインに仕事として関わっている業界の人たち、いわゆるワインのプロフェショナルと言われる人たちについての話になると、顔が曇ります。 彼らが一様に指摘するのが、日本のワイン業界の人たちに対しての教育の必要性です。彼らは、日本のワインマーケットの人たちとは、話をしていてもどうも話の内容が合わない、とよく言います。 たしかに言葉の問題は大きいと言えるとは思いますが、いわゆるプロ同士の会話にならないとよく聞きます。特にワインの醸造・栽培部門の方たちの話はほとんど理解できていないようです。 また、マーケティングの担当者も、なにかこちらが教師にでもなって、彼ら(日本のワインプロフェショナルの人たち)にワインの基礎をレクチャーしているような感じになることも多いと言っています。 日本のワインマーケットの皆さんからは、よく質問もされるそうですが、圧倒的に多いのは、セパージュの細かな配合比率であるとか、新樽の使用比率、さらにはワインの発酵温度などだそうです。 こうしたことを聞いてみたいというのはわからないわけではありませんが、ワイン生産者から言わせると、どうしてそういうことがワインを知るという意味において、それほど優先順位が高い質問なのか、ということになるようです。 たとえば、セパージュの細かな配合比率を知ると、結果としてどういうことが理解されるのか、発酵温度を聞くことによって結果として質問者に何がもたらされるのか、答える側としては、なぜそのことがワインを理解するうえでそれほど重要なことなのか、理解できないないということになります。 実は私も新樽の使用やワインの発酵温度などについて聞かれることがあります。当然のことながら、生産者(醸造家)はそのワインの発酵温度が何度だったか、どういう樽をどう使ったのかは知っています。それは、ワインメーカーにとって、ワインの個性に影響を与える醸造上重要な選択だからです。しかし、日本のマーケットの人たちが、その違いを理解して質問を発しているとはとても思えないのです。 日本では、新樽使用100パーセントなどと聞くと、それだけでありがたいということになってしまいますが、新樽比率が高ければ高いほどワインが上質のものになるわけではありません。 私には、たとえば上述の新樽の使用比率を知ることや、セパージュの配合比率を知ることが、ワインを理解するという意味において、マーケットの人たちにとって非常に優先順位が高いことだとは思いづらいのです。 それよりも、マーケットで活躍されるワインのプロフェショナルの方々が、何よりも理解しなくてはならないことは、ワインの本質部分です。 前述の新樽の使用について言えば、新しい樽と古い樽とでは何がどう違うのか、それによってワインの個性がどう変わりうるのか、といった基本的なことを理解する必要があります。 ワインメーカーは、どんな生産地域(森)のどれくらいのトーストの度合いの、どの生産者の樽を、どういった組み合わせでそのワインに対して適用していこうという判断をしています。 このことは、単に新樽をどれくらい使ったかというような単純な話ではありません。 セパージュの細かな比率、新樽比率などを製品のパンフレットなり口頭でアピールしているのをよく見かけますが、指摘したいのは、そういった何か専門的と思われるような語句をちりばめることが、本当にワインの販促になっているのか、それを知らせることで業者や消費者がワインをよく理解して、喜んでワインを買うようになるのかということです。 日本のワイン教育の貧困 日本では『教育』と言う言葉を使うと、机の上の丸暗記的な勉強を連想させてしまいますし、勉強はつらく苦しいものという発想をしてしまいますので、ワインについて『教育』という言葉を使うのは、私自身はあまり好きではありません。 その代わりに『ワインへの真の理解を深める』という言い方をしたいと思っていますが、現状日本においては残念ながら、『ワインへの真の理解を深める』という活動をしておられる機関は非常に少ないように思います。 冒頭申しましたように、ワインの仕事というのは多岐に渡り、それぞれの分野で高い専門性が要求されます。 特にインポーターと直接消費者と接するレストラン・バーを含んだ料飲店と小売業には、ワインの正しいきちんとした理解が求められます。 インポーターにしろ小売業にしろ、自社・自店が扱うワインがスムーズに売れていかなければなりません。そのためには最も重要なステップとして、良質なワインを仕入れる必要があります。 良いワインを仕入れるためには、ワインの本質をきちんと理解した上でつちかわれた、優れたテースティング力がものをいいます。 扱うワインの品質がよくなければ、当然のことながら売上は上がりません。ワインを売るという現実を直視したときは、そうしたワインへのきちんとした理解を持って品揃えされた商品群のうえに、きちんとしたマーケティング戦略とマーケティング戦術が展開されて、初めてワインが売れるのです。 それを実践するためには、まずはワインへのきちんとした深い理解があることが前提となります。 もちろん日本のワインマーケットには、非常に優秀な方々が多くおられます。しかし、その数は全体から見ればまだまだ少数で、冒頭申しました、日本でのワイン消費の現状と、その裏にある消費者の潜在的なワイン購入の欲求の強さを考えると、ワインの供給サイド、つまりワインの売り手側のレベルアップがきちんと行われさえすれば、ワインは楽しく面白いように売れていくと思います。 今回は、ワインマーケットの方々にとっては、非常に耳障りな内容となり、この文章が皆様の自尊心を傷つけ、不愉快にさせたかもしれません。不快な思いをさせましたら深くお詫びいたします。 ワインの仕事は、通り一遍の表面的な事柄の暗記だけでは、ほとんどうまくいきません。ワインの真のプロフェショナルとしてワインをマーケットで売っていくためには、一方の車輪ではワインについての正しい、深い理解とそれに裏打ちされた優れたテースティング力、もう一方の車輪では、非常に優れた戦略性とマーケティング力と販売力、加えて質の高いホスピタリティが求められます。この両方の車輪が両立して一緒に回転しないと、ワインを売っていくのは難しいと言えましょう。 その意味で日本のマーケット参加者個々のレベルアップ・人材育成は急務であります。是非井の中の蛙にならず、多くのマーケット参加者がワインの本質・本流を理解され、世界標準でワインのお仕事をされることを期待したいと思います。 (伊藤嘉浩 2009年11月)
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