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Home >Wine Talk Home >Tasting ワインプロフェショナルを目指す皆様への提言 ーワインを良く知るためには、どんなふうにワインの理解を進めていったら良いのかー ワインというのは、何かしら知的好奇心を誘うものがあるようです。ひと口にワインを知ると言っても、ワイン愛好家の皆さんからすると、どこから手を付けたらよいのか迷ってしまいます。 消費者の皆様が、ワインをおいしく楽しく飲むためには、どうしてもワインのことを良く知る必要があるなどというのは言い過ぎだろうと思います。難しい能書きや講釈より、何よりワインを楽しく飲むのが一番です。しかしワインについて少し理解を深めると、今までとは違ったワインと出会えるチャンスが増えたり、ワインへの関心がより高くなったりするかもしれません。 ワインを知る、あるいは理解するということについては、誰か良くワインをきちんと知った人に導いてもらった方がわかりやすく、関心も持ちやすいのではないかと思います。 さてしかし、誰がワインを良く知る人なのか、ということになります。私は、ワイン業界におられるワインのプロフェショナルと言われる人たちが、本来はその手助けをするのにふさわしい人たちであろうと思います。 優れたワインのプロフェショナルの人たちに出会うことができれば、ワイン消費者たちは苦労することなく、ワインをどんどんよく知るようになり、ワインがもっと近く、楽しくなっていくと思います。 ただし現状を見ます限り、日本のワイン業界では、かなりいい加減な情報も蔓延していて、自称プロの人たちも多いという指摘は残念ながら事実でしょう。 そこで今回は、ワインの真のプロフェショナルになろうとする方々が、ワインに対してどんなアプローチをするのが良いのかを少し書いてみたいと思います。 ワインの勉強は苦痛以外の何物でもない?? 日本人は、とにかく勉強が大好きです。実は、本当は苦痛を伴った勉強など好きではないと思うのですが、とにかく与えられたものをこなそうとします。きっとこれは受験勉強からきているのでしょう。 ワインの勉強もしかりで、皆さんとんでもない時間と労力とお金をつぎ込んで、ガリ勉的にワインの勉強をしておられます。しかしその内容は、とにかく暗記です。それを記憶したからといって、ワインを理解したということにはなっていないようですし、何より流通・販売の現場で大して役に立っていないようです。 私には現在日本で行われている『ワインの勉強』が、日本の英語の勉強とダブって見えます。日本の学校教育では、あれほどの時間と労力を英語に注ぎながら、結果として英語を話すことも読むことも、書くこともできません。そればかりか、英語コンプレックスを植え付けてしまってさえいます。日本の『ワインの勉強』と構図がとてもよく似ています。 その結果、その勉強を成就した人も、ワイン(あるいは英語)の実践の現場ではわからないことだらけで、結局ワインのことはよくわからないという事態に陥ります。私はこの状況を見るにつけ、とても暗い気持ちになります。 本当にワインのことを知り、理解していくプロセスは、苦痛に満ちたものでは全くなく、楽しいことです。しかもそのプロセスを進めていけば、本当のワインプロフェショナルの道が待っています。さてしかしそれはいったいどういうことなのか、その一端をのぞいてみることにしましょう。 ワインを知る・理解するとは、たとえば・・・ たとえばボルドーのワインについて見てみましょう。ボルドーのワインは、ワインの歴史の上でも、現在のワイン界においても重要な位置を占めていますから、これについて理解を深めるというのは重要なことです。 ボルドーのワインは、赤ワインでは使われるぶどう品種は、現在は5種類です。Cabernet Sauvignon(カベルネソーヴィニオン), Merlot(メルロ),Cabernet Franc(カベルネフラン), Petit Verdot(プティヴェルド), Malbec (マルベック)です。 それぞれ特徴のあるぶどうで、異なった個性をワインに与えます。このうち初めの二つ、カベルネソーヴィニオンとメルロは、今では世界中で植えられ、優秀なワインを産出しています。またあとのふたつ、プティヴェルドとマルベックは、強い個性を持つぶどう品種で、ボルドーではワインに個性を与えるために少量使われます。 さて、ボルドーの赤ワインを見るときに、ある一つのぶどう品種を見ておくと、ワイン全体への理解がさらに深まります。そのぶどう品種はCarménère(カルメネール)です。カルメネールと言われてもピンと来ないかもしれませんが、かつては上記5つのぶどう品種とカルメネールを合わせた6つのぶどう品種を、ボルドー赤ワインの6大ぶどう品種と言っていました。 今ではカルメネールはボルドーでは絶滅して(ごく一部にあるにはあります)、現在ではボルドーワインに使われることはありません。しかしこのカルメネール、今では遠く海を渡ったチリで花を咲かせています。チリでは現在、チリワインの赤といえばカルメネールといわれるように、カルメネールをフラッグシップワインとして育成しています。 同様なことがアルゼンチンでも行われていて、今ではアルゼンチンの赤といえばマルベックと言われるまでになっています。 こうしてみると、ワインのメッカであるボルドーのぶどう品種が、今では世界のどういうところでつくられ、どういう位置づけになっているのかがわかるようになります。 そうなると、同じぶどう品種でありながら、世界各地で個性が異なるワインが生まれ得るということを、テースティングによって確認してみたくなってくるでしょう。たとえばカベルネソーヴィニオンひとつをとっても、メドックのワイン、カリフォルニアのワイン、オーストラリア、チリ、南アフリカとワイン産地はいくつも挙がってきます。 オーストラリアひとつとっても、Coonawarra(クナワラ)はどうか、Barossa Valley(バロッサバレー)、Margaret River(マーガレットリバー)、Hunter valley(ハンターバレー)はどうか、とどんどんテースティングが進んでいきます。そしてワインに違いがあるとすれば、どういうところに違いが現れるのか、その主要な原因はどこにあるのか、ということを一緒に理解していくことになります。 ワインの理解というのは、常に現物のワインが伴っていなくてはなりません。かつては現物のワインが常に伴うというのは非常に困難なことでしたが、今のワインマーケットではさほど困難なことではありませんし、ワイン業界におられる皆さんにとっては、テースティングのための莫大な資金が必要であるというわけでもありません。(環境によって若干の違いはあろうかとは思います。) さて話をボルドーに戻しまして、ではなぜボルドーの6大品種のひとつだったカルメネールは絶滅したのでしょう。この疑問は、ぶどう栽培全体への理解を深める足掛かりのひとつとなります。 カルメネールの絶滅のことを知るには、フィロキセラのことを知らなくてはなりません。フィロキセラ(Phylloxera)とは、フィロキセラという害虫による病気です。ワイン界では最も恐れられているぶどうの病気のひとつです。
しかし、なぜヨーロッパのぶどうが絶滅から逃れることができたのか、興味がわくのではないでしょうか。スペースに限りがありますから、この場で詳しく述べることはできませんが、こうしたことを知り、理解することは、現代のワインの根幹を知るうえでとても重要なことです。 このことは、その後のぶどう栽培に画期的な手法をもたらすことになりますが、その結果として、ワインの品質や個性が大きく影響を受けることになるのです。ぶどうの品質とワインの品質の関係を理解することは非常に重要です。なぜならその原則を知れば、世界中のすべてのワインに、その原則が適用されることになるからです。 現代では、ぶどうの台木やクローンの選択なしにはぶどう栽培は考えられませんが、学問的なことはさておくとしても、こうした理解のアプローチをすれば、ぶどうとワインの関係についての理解は進むでしょう。このことは、ワインのプロフェショナルの道への第一歩だと考えます。 カルメネールに話を戻せば、ボルドーのカルメネールは、このフィロキセラ禍によって絶滅したのですが、それ以前にチリにわたっていたものが、現地で生き延びていたのです。それで今ではカルメネールと言えばチリ、チリと言えばカルメネールということになっています。 そうなると、カルメネールのワインを飲んでみたいという気になるのではないでしょうか。そうするとカルメネールをいくつか試飲して、特徴を捕まえてみようとする実践に結びつきます。 更には、ほかのボルドー品種とも比べてみようということになって、能動的なワイン探求になっていきます。たとえばマルベックというのはどういう品種かと思えば、アルゼンチンのマルベックと比較するのもいいでしょう。 ボルドーにはマルベックの単一ワインはありませんから、比較するとするとCahors(カオール)のワインということになりますが、この比較は興味深いものとなるでしょう。
なぜ興味がわくかと言えば、同じぶどう品種でありながら、それぞれのワインはかなり個性が異なるからです。しかしなぜ個性が異なるのか?そこが重要なポイントです。 こうした『なぜ』を自ら発するということが、おそらくワインを知る・理解する上での第一歩なのだと思います。そうすれば、おのずからワインを知りたくなっていくのではないでしょうか。同じぶどう品種でありながらワインの個性が違う。それはなぜか。その疑問を解くためには、今度はぶどうの生育環境を理解することになっていきます。 『ワインを知る』の楽しみ 『ワインの勉強』ではたとえば、マロラクティック発酵(Malo-Lactic Fermentation:MLF)という言葉が出てくると思います。おそらくは、アルコール発酵の後に起こる2次的な発酵で、乳酸菌が関与して、ワインの中のリンゴ酸を乳酸に変えると説明してあるのだろうと思います。その通りなのですが、これでは実際は何の事だかわからないのではないでしょうか。 最もわかりやすいのは、マロラクティック発酵が起こっているワインと、起こっていないワインを比べてみることです。そうすれば、マロラクティック発酵ではどういう物質が生成され、ワインにどういうキャラクターが現れるのか、実際に確認できます。 これには、どなたかきちんとした方の導きがなければなりませんが、これを何度か体験して、あなたがマロラクティック発酵についての理解を深めれば、今度はあなたがそれを次のワインプロフェショナルに伝えられます。 マロラクティック発酵を知り、理解することは、何よりあなたのテースティング能力を引き上げます。特に白ワインの選択・仕入れには大きく力を発揮するでしょう。なぜかと言えば、消費者の中にはマロラクティック発酵が行われたワインを好む人もいれば、そうでない人もいるからです。 もちろん消費者は、マロラクティック発酵などというややこしいことなど知る由もありません。またそんな専門用語を消費者に聞かせるべきでも、説明すべきでもありません。しかし、あなたがその消費者が、マロラクティック発酵のキャラクターを持ったワインが好みだと判断すれば、そうした個性を持ったワインを薦めることができるのです。なぜなら、あなたが仕入れの段階で、テースティングによってその仕訳を行っているからです。 こうしたことは、紙の上のお勉強ではとてもできないことです。マロラクティック発酵というひとつのことを理解するにも、ただ書いてあることを記憶するだけでは、本当の理解に結びつきません。しかしそれをきちんと理解すれば、プロフェショナルの仕事ができます。 ワインをきちんと理解することは、表面的な用語を記憶することでは全くありません。中身についての理解が必要です。何やら難しく思われるかもしれませんが、ワインのお仕事の現場で、ステップを踏んでおやりになれば、多くの部分が自発的・自然的に身についていきます。 ただそこで、あなたが通り一遍の表面的な知識の習得だけに終始されると、苦労だけを背負った、いつまでたっても自称プロで終わってしまいます。 日本の消費者は、世界に類を見ない優れた消費者たちです。どうか真のワインプロフェショナルであるあなたの手で、消費者にワインの幸せを導いてあげていただきたいと思います。 WORLD FINE WINESでは、さまざまなサポートを用意しています。是非ご利用ください。 (伊藤嘉浩 2011年6月)
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