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Home >Marketing > ワイントレンドと日本市場 ここ数年、世界のワイントレンドは、それ以前と比べてずいぶん様変わりしてきています。そのことは、ワインのスタイル、人気生産地、消費者のワイン選好の変化などに現われています。今回はこうした変化の流れを、日本市場のワインの流通・販売傾向と比較しながら見てみたいと思います。 ワインは世界的な流通商品であり、日本で消費されるワインもそのほとんどが輸入されたワインです。その意味で日本もワインの世界流通の一部にあるわけです。ですから、ワインの輸入・流通・販売においては世界のワインの潮流を見ておくということは重要なことでありましょう。 世界市場でのワインの変化 世界のワインはいろいろな場面で変化しています。ワインの生産の場面、流通の場面、消費の場面、さらにその内部では、ワインのスタイル、品質、市場の盛衰、世界経済の動向、消費者の好みの変化、メディアの動向などそのときどきにいつも変化をしています。それぞれの現場で起こっている個別の変化・変動をひとつひとつ捕まえることは困難ですが、その大まかな流れや傾向は指摘できるのではないでしょうか。そのうちいくつかを挙げてみましょう。今回取り上げるのは、
です。 人気ワイン生産地の変化 近年の世界のワインの変化で最も顕著なのが、新しいワイン生産国の台頭でしょう。いわゆるニューワールドといわれるワインです。具体的には、アメリカ、オーストラリア、チリ、ニュージーランド、南アフリカ、アルゼンチンなどのワインです。 個人的にはこのニューワールド・オールドワールドという区分は、いずれ陳腐化していくのではないかと思いますが、ワインの生産地がヨーロッパからヨーロッパ以外に拡散したことは、極めて大きな変化です。このことが、ワインのスタイル、新しい消費者の創出に大きく寄与したことは明らかです。 2010年には、世界最大のワイン消費国はアメリカになると予測されています。また、ヨーロッパにおいても最大のワイン消費国は、金額ベースではイギリスがフランスを抜き1位なるといわれています。(ただし、数量ベースではフランス、イタリア、ドイツが依然イギリスを上回ると予測されています。)これら世界のワイン大消費地では、ニューワールドワインがオールドワールドワインを駆逐するようになっています。 ちなみにアメリカでは、輸入ワインでの消費量の1位はイタリア、2位はオーストラリア、3位がフランスです。また、イギリスでは1位はオーストラリア、2位は 確かにフランス、イタリア、スペインなどのワイン生産国では、圧倒的に自国で生産されたワインが消費されていますが、その自国での消費量はどの国も激減しています。ヨーロッパの主要ワイン生産国は、自国の消費量の激減に加えて、輸出市場でもニューワールドワインに取って替わられるというきびしい現実に直面しています。(脚注1) 上記の世界トレンドに対して日本のワイン市場はどうかというと、いまのところ世界の潮流に沿った流れではなく、旧来的な枠組みで市場が形成されていると見ていいでしょう。 世界トレンドに乗ることがいいのかどうかは議論があるところだと思いますが、今や世界のワイン消費の現場では、旧来のヨーロッパワインだけでなく、さまざまな生産地のワインが消費者に提供され、消費者は自分の好みによりワインを幅広く選択できるようになっています。それゆえ、消費者は自分の好みのワインを選択していく過程で、従来とは違う生産地のワインを選ぶようになり、その結果が消費者の好むワインの産地の拡散につながっているとみていいでしょう。 ワインのスタイルの変化 ワインのスタイルの変化というのは、局地的に起こる場合もあれば、全体的な傾向として現われる場合もあります。また、かなり短期的な現象として見られることもあり、必ずしも一般的な傾向として捕らえられない不安定要素も多いといえます。しかしそうではあっても、確かにワインのスタイルが変化しているという側面ももっています。 たとえば1997〜8年に日本で起こった赤ワインブームは、一時的なワイン消費の急増とともに赤と白の割合を急激に変化させました。当時赤ワインが健康によいとするブームは、世界的な広がりとしてありましたが、日本で起きた現象は極端なものでした。ブームは非常に短期間で沈静化しましたが、このことによりそれ以来日本では赤ワインの比率が高くなり、現在も続いています。 また、2004年に封切られたアメリカ映画『サイドウエイ(Sideways)』は、アメリカに一大ピノノワールブームをもたらしました。この映画の影響で、アメリカではそれまであまり知られていなかったピノノワールが、一躍赤ワインの消費市場に現われたのです。これをきっかけにアメリカではピノノワールがメジャーなぶどう品種のひとつになりました。 以上のような一時的な外部要因が、ワインの消費スタイルに大きく影響を与えるということはよくあることですが、しかしそれらは突発的に現われるので、予測はつきづらいことです。 他方、もう少しスパンの長い傾向として、ワインの飲み口の変化が挙げられます。たとえば赤ワインについて言えば、アルコール度数の高い、骨格の大きな濃厚なワインが増えてきています。(脚注2)この現象は、従来のヨーロッパのワイン、とりわけフランスワインと比べて、ニューワールドのワインがよりアルコール度が高く凝縮感があり、多くの消費者がこちらのタイプを選択しているという現状に見られます。またこうした傾向は、ロバートパーカーなど一部の影響力を持ったワイン批評家などに誘導されている側面もあるようです。ただし最近では、その反動で高アルコールワインからの回帰も見られるようになっています。 日本においては、いわゆるニューワールドと呼ばれるワインの露出が少なく、消費者がそうしたワインにアクセスできる環境があまりないため、今のところ日本ではこうした動きは限定的です。また、赤ワインのこうした世界的傾向は、日本の消費者の嗜好には合わないとする見方もあるようです。 逆に白ワインでは、全体的な傾向として、フレッシュアンドフルーティなワインをより好むようになっているようです。また、特にここ1〜2年の傾向として、スパークリングワインとロゼワインは高い伸びを示しています。(脚注3) さらに注目すべきは、世界の主要ワイン消費市場のほとんどで、消費されるワインの品質が向上しているという事実です。現にフランス、イタリア、スペインなどが苦しんでいるのは低品質ワインの大量の売り先のない在庫です。 ワインのスタイルの変化は、その変化の様相が一定せず、ワイン消費地の環境によってその変化が適応するかどうかも確実ではありませんが、それでもワイン界全体の流れをつかんでおくのはやはり必要なことでしょう。 ワイン消費地の変化 先にも述べましたが、世界のワイン消費地はどんどん広がっています。今から30年前というと1977年です。そのころの世界のワインの消費地はほとんどヨーロッパであったといっていいでしょう。基本的にワインはヨーロッパで造られ、ヨーロッパで飲まれていたのです。 たしかにそのころ熱心なカリフォルニアの生産者たちがヨーロッパのワインに挑戦し、ヨーロッパの人たちはその優秀性に驚きましたが(脚注4)、アメリカで一般的にワインが飲まれだしたのは実はもっと後のことで、言い方によっては最近といってもいいでしょう。 オーストラリアはそれよりもっと後で、ワインが一般的に消費されるようになったのは、極論すればここ10年ということになるでしょう。 世界第2位のワイン消費国になろうとしているイギリスも、状況は似たり寄ったりです。イギリスは歴史的にもワインとのかかわりが深く、さぞかし昔からワインが一般的に飲まれていたのだろうと思われがちですが、実はそういうわけでもありません。 しかし今ではこうした国が大量にワインを消費するようになっています。日本はどうかといいますと、今から30年前の1977年は、ワインという言葉は知られるようになってきてはいましたが、大多数の日本人はワインという飲み物を口にしたことがなかった時代です。今から思えばうそのような話ですが本当です。 日本では、今ではもう『そもそもワインとは』から始めなくてもよくはなりましたが、まだワインが日常の風景であるとはいえないでしょう。しかし、日本は潜在的に優れた市場で、おそらく世界で最後に残った未開拓の優良ワイン市場だといえるでしょう。 現在世界のワイン界が注目しているのは中国です。さらにブラジル、ロシア、インドなどです。特に中国については世界のワイン界が大きな関心を持って見ています。ワインの消費総量ではすでに世界第10位で、中国のフランスワインの輸入量はすでに日本のフランスワインの輸入総量を上回っています。 世界のワイン界が中国に関心を向けているもうひとつの理由は、中国がワインを輸入してくれる顧客であるのか、近い将来ワイン生産の大きな競争相手になるのか、どちらであろうかはっきりしないと考えているからです。実際、中国のワイン生産は急拡大しており(脚注5)、アメリカやオーストラリアの企業はぶどう栽培や醸造の現地投資をおこないはじめています。 日本においては、ワインは基本的に輸入品で、世界のワイン動向を見ながらの対応が不可欠です。特に日本の消費者はワインの品質を理解し、優良なワインを好みます。(ここでいう優良ワインとは、必ずしも高価なワインを意味していません) 世界のワイン動向をバックボーンに、適切な手をマーケットで打っていけば、日本の消費者はもっともっとワインを楽しむことができ、ワイン消費は驚くほど増えるでしょう。アメリカやイギリス、オーストラリアのワインマーケットは、実は少し前までは今の日本のようなマーケットでした。 マーケット参加者の舵の取り方次第で、日本のワインマーケットは大きく成長すると思います。流通関係者の皆様の努力に期待いたします。 (伊藤嘉浩 2007年7月)
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