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※ 本稿は、2012年1月6日に発行した『ワールドファインワインズ ニュースレター』をそのまま転載したものです。
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WORLD FINE WINES ニュースレター 2012年1月6日
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明けましておめでとうございます。2012年が皆様にとって楽しい1年でありますよう、心よりお祈りいたします。今年もどうぞよろしくお願いします。
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■ ワインの高アルコール度化からの回帰はあるのか
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世紀が変わる時分からこれまでに至る10年ほどで、ワインに起こった大きな変化のひとつは、ワインの高アルコール度化でした。それ以前のワインは、大半のワインは12度台でしたが、昨今では12度台のワインに出会うことはずいぶん少なくなりました。
現在では、世界のワインの平均アルコール度数は13度半ばで、この10年で1パーセント程度上昇しています。ワイン界でよく聞かれる議論は、地球温暖化のためぶどうの糖度が上がったというものですが、確かにそれはあったでしょうが、主たる原因は生産者側の意図だったとみたほうが、納得しやすいようです。
アルコール度数が1パーセント増すと、ワインの様相はかなり変わります。刺激が増しますからよりリッチで、インパクトが強くなり、多くの場合より魅力的に感じます。アルコール自体は甘くはありませんが、ワインの高いアルコール分は、味覚に若干の甘さを無意識的に感じさせ、それがまろやかさとしてとらえられるようです。
こうした新しいタイプのワインは、世界の消費者の支持を受けました。また世界の有名ワイン評論家たちも、高いアルコール度を持つワインを絶賛しました。こうしたマーケットの要望を背景に、ワイン生産者たちは従来よりも高いアルコールを持つワインを出し、評論家の支持を取り付け、ワインが売れるようにするにはどうしたらよいかを実践した10年でもあったと思います。結果は、世界のワイントレンドはその方向で動き、そうしたワインは良く売れました。
しかしこのところ、従来の高いアルコール度のワインからの回帰現象ともとれる現象が見られるようになっています。
ひとつはワインの生産分野の動きです。これまでは、ぶどうの栽培分野では、どうしたら高い糖度のぶどうが収穫できるのか、ぶどうの収穫時期をどう決定するかーたとえばハングタイムをどうとるか、そもそもぶどうが熟すとはどういうことか、などといったことがよく議論されました。また醸造分野でも、ワインに施す手法がいろいろ議論されました。
しかしこのところ、そういった議論も鳴りを潜めているように見えます。またマーケットでは、消費者も高いアルコール度のワインにそろそろ疲れてきたのか、従来のようなアルコール度数に大きな優先順位を置くといった風潮は、落ち着いてきているようにも見えます。
むしろ最近では、バランスが取れた、ニュアンスがあるワインを求めるという動きも出てきている感じがします。ただそれがこれからのトレンドとなっていくのかどうかはよくわかりません。今年は世界の消費者が求めるワインスタイルに変化の兆しが起こるのかどうか、関心を持って見ていきたいと思います。
日本のワインマーケーットにあっては、この10年は世界の動きとはかなり違う動きでありましたから、ワインの高アルコール化に消費者が積極的に支持を与えたかというと、そうではなかったと思います。
しかし輸入されるワインは、自動的にそうしたワインでありましたから、日本の消費者の手元には、自動的に高めのアルコール度数を持つワインが供給されました。それに対し、消費者から異論が出たかというとそんなことはなく、日本の消費者はそれをそのまま受け入れたと思います。
実際のところ、ワールドファインワインズに寄せられる消費者の皆さんからの最も多い質問は、ワインのアルコール度数に関するものです。ワインを構成する成分の中で最も多いのは、水分を除けばアルコールです。このアルコール分の量が少し変化しただけで、ワインの飲み口は大きく変わります。
どんなタイプのワインをお好みになるのかは、全く消費者ひとりひとりの好みです。アルコール度の高さというのは、良し悪しの問題というわけではありません。しかし現在は、世界全体の消費トレンドによって、生産されるワインのスタイルも変わるという側面を持っていますから、販売側におられる皆様は、こうした背景などもお持ちになると良いのではないかと思います。
ワインの高アルコール度化からの回帰が世界マーケットでみられるようになるのか、関心を持って見ていきたいと思います。
※ 本稿は、2012年1月6日に発行した『ワールドファインワインズ ニュースレター』をそのまま転載したものです。
(2012年5月 伊藤嘉浩)
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