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硫化水素の発生を抑える酵母、日本で特許を取得 【日本・アメリカ・カナダ】 2014年4月26日


カナダのRenaissance Yeast Inc.は、カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)が開発した硫化水素の発生を抑える酵母の技術に関して、日本の特許庁から特許を取得したと発表した。

硫化水素(hydrogen sulfide:H2S)は、アルコール発酵時に頻度の差はあるものの、酵母によって自然現象的に代謝される物質だが、そのにおいは多くの場合不快臭ととらえられ、問題視される、醸造上のコントロールが必要とみなされる物質。

硫化水素の発生は、ワインに限らずビール・日本酒・シードルなど、酵母が担うアルコール発酵飲料ではその発酵途中に生成されることがあり、その抑制は醸造上の大きな課題のひとつだ。

今回日本で特許が取得された酵母開発技術は、すでにフランス・イタリア・スペイン・アメリカ・中国・アルゼンチン・オーストラリアなど16か国で特許が承認されていて、承認待ちの国も多数ある。

この硫化水素抑制酵母はUC DavisのDr. Linda Bisson(リンダ=ビッソン博士)によって発見され、その後同大学のDr. John Husnik率いる研究チームによって商用酵母にまで発展した。

この酵母は、発酵途中での硫化水素の発生を完全になくすとされ、これにより醸造者の負担を軽減でき、良質な製品づくりに貢献するとしている。過去5年間の改良と商用でのテストは良好で、今ではアメリカ・ヨーロッパの多くのワイナリーで使われているとしている。

この硫化水素抑制酵母は遺伝子操作によってつくられた酵母ではなく、従来の育種で開発された酵母で、Renaissance Yeast Incの供給する酵母は、オーガニック認証酵母を含め、すべてその種の菌種となっている。

日本での特許取得については、日本には日本酒があり、近年日本酒の世界輸出が注目を集めてきていること、ワイン造りも今後期待できることに加えて、日本は世界で7番目に大きなビール生産国であることを挙げ、酵母の市場に期待をかけている。


Renaissance Yeast Inc.は、カナダのバンクーバーに本拠を置く酵母の開発と販売を専門に行う企業。Dr. Linda Bissonが発見した硫化水素抑制酵母の世界販売とテクニカルサポートを一括で行っている。


【コメント】

ワインに硫化水素が発生しているなどと聞くと驚かれるかもしれません。しかし硫化水素は条件・環境にもよりますが、酵母の代謝によって発酵途中に時として生成される物質です。ワインメーカーにとって、硫化水素のコントロールは最重要項目のひとつです。

日本におけるワイン醸造では、世界標準とみなされている硫化水素のコントロール手法が使えないため、この酵母の導入は進むかもしれません。

日本のワイン市場においては、硫化水素が発生しているワインはしばしば見られます。ただワインに発生するそのにおい成分を可とするか否とするかは個人差があり、硫化水素が発生しているワインを100パーセント悪だと決めつけるわけにはいきません。

しかしながらワイン醸造者はもちろんのこと、マーケットにおられるワインプロフェショナルの皆様は、少なくともその概要は理解される必要があると思います。その上でワインを吟味されると、より良い仕事ができると思います。

(伊藤嘉浩)



ワールドファインワインズでは、『専門資料のご提供』の中の、
『A-3 ワインにおける『還元臭』『還元的な環境』とはどういうことか』

でワインにおける硫化水素の発生について詳しく取り上げています。どうぞご利用ください。詳しくはこちらからどうぞ。


また『エデュケーションプログラム ワイン テクニカルコース』
『C-3 還元臭とは何かーその実態』

でも詳しく取り上げています。どうぞご利用ください。




【関連ページ】

硫化水素の発生を抑える酵母、オーガニック認証を取得 【EU・アメリカ】 2011年10月7日』
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