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MLFに関わる乳酸菌のタンパク質の一部が解明―MLFの研究が進む 【スペイン・イタリア】 2014年3月2日


マロラクティック発酵(malolactic fermentation:MLF)は、ワインの主発酵であるアルコール発酵の後に、乳酸菌が関与して起こる2次的な発酵で、ワインの味覚や香り・酸度を変化させる重要な発酵プロセスです。

MLFは、世界で生産される赤ワインのほとんどで起こっています。白ワインに関しては、そのワインの持つ個性・特性によってマロラクティック発酵を起こさせるかどうかは、ワイナリー・ワインメーカーの判断でコントロールされています。

ワインのマーケットでは、マロラクティック発酵というのはあまり関心の向く分野ではないかもしれませんが、ワイン生産者にとっては、ワインの個性を左右する重要な要素のひとつであるので、大きな関心事です。

今回、そのMLFに関わる主要な乳酸菌のひとつであるOenococcus oeni(オエノコッカス・オエニ:O. oeni)という菌種が持つタンパク質構造の一部が解明されました。それぞれの生命組織の持つタンパク質の全容を知るということは、生命体の遺伝子の全容を知ること(ゲノム解析)と同様に、生命を研究する上で極めて重要なことだと考えられています。(生命体のタンパク質の全容を知る研究は、プロテオーム解析(Proteomic analysis)あるいはプロテオミクス(Proteomics)と呼ばれています。)この研究を発表したのは、スペインのSpanish National Research CouncilとイタリアのUniversity of Foggiaの研究グループです。

 
ワインのマロラクティック発酵に関わる乳酸菌
Oenococcus oeni(オエノコッカス・オエニ)



研究者らは、乳酸菌O. oeniがどういう代謝経路をたどってMLFを起こすのか、またそれがなぜワインの味覚や風味に影響を与えることになるのかをより深く知るために、O. oeniの細胞膜と細胞基質のタンパク質の全容(proteome:プロテオーム)を解明すべく研究をおこないました。

その結果研究者らは、O. oeniの持つ152の個別のタンパク質を特定しました。これはO. oeniが持つタンパク質の10パーセント程度にあたると見られていますが、こうした多くの個別のタンパク質が、さまざまな代謝経路に関わっていると見られています。

更に、MLFの代謝経路には複数の酵素(enzymes)が関わって、これらがMLFが起こったワインにナッツやバターのような風味を与えていることが確認されました。

発表された論文で研究者らは、ワインという過酷な環境の中で生きのびるというのは、O. oeniにとっては挑戦的なことで、MLFという発酵過程で自身を生存させるために様々な物質を発生させる。それゆえ、Oenococcus oeni(オエノコッカス・オエニ:O. oeni)が過酷な環境に適合してどう生存能力を発揮するのか、という分子レベルのメカニズムを理解するということは非常に重要で、ワイン醸造においてもどの菌株を選択するかや、その菌株が発生させる個性を理解していくことは重要なことだと指摘しています。

実際の個別のワインのテースティングにおいては、MLFの個性の識別は、ワインの品揃えの上で重要な位置を占めていると思います。

(伊藤嘉浩)

論文の全文は下記からどうぞ
A partial proteome reference map of the wine lactic acid bacterium Oenococcus oeni ATCC BAA-1163



【関連ページ】

ワインプロフェショナルを目指す皆様への提言ーワインを良く知るためには、どんなふうにワインの理解を進めていったら良いのかー』の『ワインを知る』の楽しみの項

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遺伝子操作によって作り出されたML01と呼ばれる酵母にはOenococcus oeniが組み込まれています。

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『ワールドファインワインズ エデュケーションプログラム アドバンストコース』

『B-2 ワインにかかわる微生物―酵母を中心に』

では、酵母や乳酸菌などワインに関わる微生物について取り上げています。詳しくはこちらからどうぞ。







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