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遺伝子操作ワインに関してワイン生産者間で二分 【ニュージーランド】 2013年9月7日


先ごろ開かれたニュージーランドの国内のワイン産業の会議で、ワインの遺伝子操作に関する問題が提起され、賛否を二分する議論となった。

議論の中で賛成派は、ワインに関する遺伝子操作の研究に後れを取ると、世界との競合に負けてしまう。現にアメリカでは大豆やトウモロコシなど多くの遺伝子操作作物が生産され、糖尿病患者へのインシュリンも遺伝子操作されたものが世界中で使われている。

もしアメリカの科学者らが、ぶどうのさまざまな病気に耐性を持つ遺伝子操作されたぶどうを開発したら、彼らはそれを積極的に使うに違いない。ぶどう栽培の近い将来を見据えた研究投資をして、遺伝子操作されたぶどうや酵母をはじめとする微生物が使えるかどうかの研究はすべきだと主張する。

また反対派は、遺伝子操作ワインなどとんでもないことだ。生産者は現在遺伝子操作ワインについての知識はほとんどなく、それがどういうものかの根本を、まずは深く知る必要がある。

ワイン生産者はもっと畑をよく見て、ぶどうの自然界での変化を観察し、健全なぶどうを作るように注力すべきで、そうしたぶどう栽培の中から、なぜぶどうが健全でいられるのか、なぜ病気にかかりにくいのかを理解していくべきだと主張する。

遺伝子操作ワインは、ワイン界にくすぶり続けている潜在的に大きな火種で、ワイン生産者だけの問題ではなく、消費者・マーケット関係者にとっても実は大きな問題だ。特に消費者の反応が大きくものを言うことになるのではなかろうか。


【コメント】

ワールドファインワインズでは、長年にわたってこの『遺伝子操作ワイン』について取り上げてきています。

ワインの遺伝子操作にはふたつの側面があり、ひとつはぶどうに対する遺伝子操作です。いまひとつは酵母や乳酸菌などの微生物に対する遺伝子操作です。現実にはすでに2006年にアメリカで遺伝子操作されたワインが発売され、流通しています。

しかしどのワイナリーが生産したのか、どのワインが遺伝子操作ワインなのかは開示されていません。

近年、遺伝子研究は飛躍的に進歩し、医療分野はもちろんのこと、さまざまなところで使われてきています。その奇跡的とも思える有用性に期待を寄せる場面も多い半面、生命の根源である遺伝子を操作することに対する慎重論もあると思います。

ワインに関しては、病害虫・ウイルスなどによるぶどうの品質低下は大きな問題で、それを防ぐための薬剤散布は生産者にとっても環境問題としても大きな負担となっています。そうした中で、ぶどうの遺伝子操作によって病気にかからないぶどうができれば、一気に問題が解決するという見方もあり、オーガニック生産者からは歓迎する発言も聞かれます。

今のところ、マーケットや消費者が遺伝子操作ワインに関心を向けることはあまりないかもしれませんが、現実には世界中のあちこちでワインの遺伝子操作に関する研究が進められています。

遺伝子操作ワインに関しては、今後もなり行きを注視していきたいと思います。『遺伝子操作ワインの出現で思う』をご覧ください。

(伊藤嘉浩)




【関連ページ】

遺伝子操作ワインの出現で思う

人工的に酵母をつくる研究始まる 【イギリス】 2013年7月12日』
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2011年のワイン界の展望 2011年1月6日
遺伝子操作ぶどうにゴーサイン 【フランス】 2005年7月15日
オーストラリアのワイン界、遺伝子操作ワインにノー 【オーストラリア】 2006年2月12日
遺伝子操作された酵母の販売を認めず 【南アフリカ】 2007年12月10日
ファンリーフウイルスに耐性のあるぶどうの開発 【ドイツ】 2009年7月10日
UC Davis 害虫に耐性のある台木を開発 【アメリカ】 2008年4月5日




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