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Home >Wine Making Home >Marketing ワインの中に魚の成分?−ワインの裏ラベルには何が書かれているのか 近年ワインのおもてのメインラベルのほかに、裏ラベルを貼ったワインが多くなっています。特にいわゆるニューワールドのワインに多い感じがします。英語で書かれていることが多いようです。 書かれていることは様々ですが、多くの場合、ワイナリーからのワインの紹介や、テースティングノートであったり、ワイナリーやぶどう畑の環境など、そのワイナリーからのちょっとしたメッセージが多いようです。 中にはそのワインがどのようにして造られたかという、かなりテクニカルなことを記述しているところもあります。また、そのワインの中身の主要な構成要素の分析値を載せているところもあります。 こうしたテクニカルなことが書かれているのは少数派だと思いますが、一方で一部消費者サイドから、ワインの醸造において使われる物質についての関心が寄せられるという動きもあります。
ワインの裏ラベルには、ワイナリーの判断によっていろいろなことがかかれていますが、その記述の中に時々、『このワインには微量の魚由来の成分が検出される可能性があります。』という一文に出くわすことがあります。 ワインの中に魚の成分??なぜ?と、それを読んでも全く意味不明の一文に違いありません。この一文を裏ラベルに記述したワイナリーは、正直に消費者に情報を伝えようとしたと思いますが、何しろそういわれても、ワインの飲み手にその意味を理解することはまずできません。 ワインの中に魚の成分が入る可能性を理解するには、そのボトルに長文の論文でも掲載しなければなりません。しかし一方では、消費者からワイン の中身の成分についての開示要求がある。これは実に悩ましい問題です。 私はワインに使われる物質で、秘密にするようなものは本来ひとつもないと考えていますが、近年の醸造技術の発達によって、かつては使われることがなかった物質や手法が使われるようになっているのは事実です。
前述のワインの中の魚の成分の話は、ファイニングの話です。しかしファイニングと言われても、消費者には実際のところ何の事だかわからないということになりましょう。魚の成分が入っているワインなんて・・・と敬遠してしまうかもしれません。(すべてのワインに魚の成分が入っているわけではありません。) ワインは自然の産物というイメージを強く持っていますから、その自然(ナチュラル)であるはずのワインに、何か外部的なものが投入されているというのは、それ自体イメージの低下でしょう。近年の自然派ワインとかナチュラルワインという用語の使われ方は、こんなところからも来ているのかもしれません。 ワインの生産者は、そのワインを造るにあたって、どんなプロセスで、どんな手法をとったかということは当然ながら熟知しています。またその手法は個別の生産者によって同じではありません。 ワイナリーによっては、それぞれの主義や方針によって、消費者に自分のワインのメッセージを伝えようと裏ラベルを活用しようとする場合がありますが、消費者やマーケットの人たちには専門的すぎてよくわからないといったこともおこり得ます。 日本に輸入されるワインでは、インポーターによって貼られたシールで、裏ラベルの一部あるいは全部がおおわれて読めないケースもありますが、仮に外国語が堪能でそれが読めたとしても、記述内容によってはワイナリーからの正確な意図が読み取れず、かえって余計な情報を持ち合わせない方が幸せな場合もあるかも しれません。 世界のワイン界では、ワインのラベルに何が書かれるべきかという議論はしばしば話題になります。カロリー表示などは消費者からの要望が多い項目です。しかし今のところカロリーが表示されたワインはあまり多くないようです。 EUは、2005年にワインラベルに二酸化イオウの表示を義務化しました。これは二酸化イオウがアレルギー源となり得る物質であるとの判断からですが、 2012年のヴィンテージからはワインに含まれるすべてのアレルギー源のシールによる表示義務が導入されました。(文末リンク) このアレルギー源には二酸化イオウのほかにミルクや卵が含まれますが、これも前述の魚の成分同様、ワインの醸造過程で使われるファイニングエージェントに由来するものです。 最近は、ワインのラベルにいろいろなことがかかれるようになって、中には消費者にはわかりづらい記述も出てきています。ワインの販売に携わるマーケットの皆様が、消費者に対して優しくその内容を、わかりやすくお伝えいただくとよろしいのではないかと思います。 (伊藤嘉浩 2015年2月) ※ 本稿は、2013年6月に発行しました『ワールドファインワインズ ニュースレター』に加筆したものです。『ニュースレター』のお申込みは、こちらからどうぞ。
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