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最新蛍光テクノロジーで偽造ウイスキーを判定―ワインも  2017年6月16日


毎年世界中でおびただしい量のアルコール飲料が消費される。しかしその中で驚くべき量の偽物が流通していると言われる。これは消費者にとってもアルコール飲料業界にとっても大問題で、偽物の検知・防衛は大きな関心ごとだ。

2017年6月、学術専門誌Chemにウイスキーの年代や出生地、ブレンドや味を特定し識別する技術が発表され掲載された。この技術を使えば、そのウイスキーの正真性も判定できるという。またその判定は、偽造されたり不純物を混入させたドラッグ、ワイン、ジュースなど、さまざまなものに応用できるという。

研究者らが開発した技術は、対象物(試料)の成分が蛍光染色され、その違いでその試料の素性を同定するというもの。

通常、染料が入った水溶液は緑−青緑色に発光するが、それにわずかな量のウイスキーを加えると、その水溶液は暗くなったりより明るく光ったりする。たくさんのサンプルにこれを行っていくと、ウイスキー別に固有のパターンが現れることになり、それがそのウイスキーの持つ固有の“指紋”となる。

この蛍光識別技術によって持ち込まれたサンプルを検査すれば、そのウイスキーの年代・どんなブレンドが行われたか、どの国で造られたかといった情報が特定され、それを全体のウイスキーの製品情報と照らし合わせることができる。

このシステムをより実用的にするためには、世界に存在するウイスキーをできるだけ多くデータベースとして取り込むことが重要で、その基礎サンプル数が多くなれば、正真性の判定の精度は上がることになる。

論文発表に使われた研究では、アメリカン・スコッチ・アイリッシュの33種類のウイスキーで、6種類の染色パターンを試し、99パーセントの識別精度を得ている。それぞれのサンプルに対して再検証を6回ずつ行っているが、そのために使われた試料(サンプルウイスキー)はわずか1ミリリットルだった。

研究者の一人Heidelberg UniversityのUwe Bunz氏は、この蛍光検知技術はウイスキーのキャラクターを明瞭に示すことができ、従来の液体あるいはガスクロマトグラフィーでは精度が悪く、問題の解決ができないということが減少し、分析にかける試料の準備に手間と時間と費用が費やされることもないという。

現在のところ、この技術の導入には10,000ユーロ程度かかるが、染料のコストはわずか数セントで、1グラムの最も正確な3種類の染料を試薬としてつくるのに1か月ほどかかるが、それを実用で使うように希釈すると200,000回使えるという。

将来的にサンプル数が増え、蛍光パターンが数百万規模になっても、短期間でそのサンプルを同定できるとする。またこの技術はウイスキーにとどまらず、ワインやジュースなどほかの飲料でも同様なことができると期待している。


(論文)
A Hypothesis-Free Sensor Array Discriminates Whiskies for Brand, Age, and Taste, Chem



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