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 ワインについて、ちまたで信じられていることは正しいか【その1】


ワインというのはとかく好奇心をかきたてる飲み物で、いろんなことが言われていています。世間でいろいろ言われていることのすべてがが正しいかどうかというと、なかなかそうとは言い切れないこともあるようで、ワインについて言われていることもその例外ではなさそうです。

今回は、ワインについて一般に信じられている、あるいは何となくそう思われる事柄について、少し探ってみたいと思います。今回掲げますのは、次の7つです。
  1. シャブリのあの火打石臭といわれる独特の香りや、カチッとした飲み口の特徴は、石灰質土壌からもたらされる。
  2. テロワールとは土壌のことをいう
  3. ワインはアルカリ性なので健康によい。
  4. 白ワインは冷やして、赤ワインは室温で飲むのが良い。
  5. 二酸化イオウ無添加のワインは、より良質なワインである。
  6. ワインは熟成するので、年数を経過したほうがおいしくなる。
  7. ワインの専門家は、ワインを飲んだだけでその銘柄やぶどう品種、ヴィンテージなどがわかる。

では、順番に見てみましょう。


(1)シャブリのあの火打石臭といわれる独特の香りや、カチッとした飲み口の特徴は、石灰質土壌からもたらされる。

見解:ほとんど×


以前は、この説は世界的にも支持された時期がありました。それは、土壌の化学的な物質の構成の違いが、ワインの香りや飲み口に特徴を与えると信じられたからです。

今もテロワールという語句の意味が、土壌の成分の違いとして矮小化して語られるのは、このあたりに原因がありそうです。

しかし現在では、カルシウムであったりマグネシウムであったりという、土壌を構成する化学成分が、ワインの香りに影響を及ぼすことはないとほぼ実証されています。ですから、世界のワイン専門家で、このことをに信じている人はごく少数だろうと思われます。(さらに詳しくは、文末の【関連ページ】へのリンクをご覧ください。)

ただし、完全にこのことが否定できるかということになると、まだ若干の研究の余地が残されているといわれ、100パーセントそうだと言い切れないという余地も残されています。


(2)テロワールとは土壌のことをいう

見解:完全に間違いではないが、ワインでいうテロワールは、土壌のことだけを言っているのではない。かなり×


 

ワイン界では、しばしばテロワールという言葉が使われます。ですが実際にテロワールの意味が、的を得て使われているかというと、かなりあいまいなようです。

テロワールという言葉は、非常にしばしば、土壌の性質という意味合いで矮小化して使われていますが、ワイン界で使われるテロワールの意味は、実はもっと幅広い、そのワインが生まれる包括的な環境のことを言っています。

したがって(1)に挙げたシャブリについて、シャブリのテロワールは石灰質土壌だというのは、テロワールの使い方としては適当とはいえないということになるでしょう。

ワインで使うテロワールという言葉はかなり観念的・感覚的なもののようで、フランス人以外にはなかなか彼らと同じように体感的に理解しづらい言葉のようです。ですからテロワールという言葉を使う際は、その意味合いをよく整理して使う必要があるようです。

テロワールの意味するところについては、『テロワールについて』(文末【関連ページ】のリンク)をご参照ください。


(3)ワインはアルカリ性なので健康によい。

見解:× がしかし・・

まずはじめに、このことに言及するのに問題を二つに分けて考える必要があります。ひとつは、ワインはアルカリ性かということです。もう一つは、アルカリ性の食品は健康に良い、の部分です。

最初の論題、『ワインはアルカリ性である』に関しては、ワインは明らかに酸性の飲み物です。ワインの酸度は、ほとんどのワインがpH3〜pH4の間におさまっています。ですからワイン自体は間違いなく酸性です。しかし日本ではよく、ワインはアルカリ性だと言われます。またアルカリ性なので、体に良いのだと言われます。なぜそう言われるのでしょうか。ワインを専門領域とする者として気になります。

酸性のワインがアルカリ性だといわれる根拠は、食品栄養学からきているようです。栄養学では、ワインはアルカリ食品に分類されるというのです。

栄養学では、食品の酸性・アルカリ性の分類を判定するのに、その食物が消化燃焼された後の残渣物質である成分、これを灰分(かいぶん)と呼ぶそうですが、これが酸性であるのかアルカリ性であるのかで分類されるのだそうです。その基準でいうと、ワインはアルカリ性食品に分類されるというのです。

またかつて、アルカリ性食品は健康に良いといわれた時代がありましたし、現在でもその手法を使ったマーケティングが時折見られます。しかし、消化・燃焼された後に残った成分である灰分の酸性・アルカリ性の違いが健康に大きく直接的に関与するということは、現在では栄養学の観点からも否定されているようです。

したがって、ワインは栄養学的見地からの分類上アルカリ性飲料だから、健康に良いと信じて飲む、あるいはそういう扱いをするということは理にかなっているとは言いにくいようです。

現在、世界中で医学界を中心に、ワインと健康に関する非常に多くの研究が進められています。研究は多岐にわたっていて、ワインの健康に対する効用を示すものも多い一方で、ネガティブな結論を示すものもあり、物議をかもすこともあります。

しかしそれらのワインと健康に関する研究の中で、ワインがアルカリ食品なので、健康に寄与するという研究は、これだけ多くの研究が行われる中、今のところ目にしたことはありません。

梅干しも、それ自体は明らかに酸性ですが、食品栄養学ではアルカリ性に分類されるのだそうです。私には、消化燃焼された後の物質、つまり灰分が栄養学上なぜ重要なのか、それが酸性であるのかアルカリ性であるのかがどういう意味を持つのか理解できていません。

その方面にお詳しい方、ぜひご一報願えればと思います。


(4)白ワインは冷やして、赤ワインは室温で飲むのが良い。

見解:極めて大雑把には○ しかしこれではわかりにくいかも・・

白ワインは冷やして、といってもどれくらいに冷やすのが良いのか、赤ワインは室温で、といっても何度ぐらいを室温というのか、そのあたりをもう少し丁寧に示した方が良いのではないでしょうか。

 

実際、どのくらいの温度でワインを飲もうが人それぞれ、好き好きです。ですから、ワインを飲む温度について、あまりとやかく言うこともないとは思います。ですがここでは、これぐらいでお飲みになってみてはいかがでしょう、という目安のようなことをお伝えしようと思います。

一般論として、白ワインは冷やしすぎの傾向があるのではと思います。よく、白ワインはきりっと冷やしてと言いますから、2℃〜5℃ぐらいで飲まれることが多いのではないでしょうか。2℃、3℃と言えば、冷蔵庫程度の温度です。

しかしこれほど低い温度だと、冷たさばかりが強調され、香りも立ちにくく、ワインの香りや味わいを楽しむという観点からは、もう少し温度を上げてみたらどうかと思います。ワインにもよりますが、白ワインの場合、一度6℃〜10℃程度を目安にお飲みになってみてはいかがでしょう。

軽い感じの白(スパークリングワインも含めて)なら6℃程度、ふくらみのある白ならもう少し高めの温度でお試しになってみてはいかがでしょう。ロゼも、おおむね白ワインに準ずると良いと思います。

赤ワインについては、室温といってもいったい何度くらいを室温と言っているのかよくわかりません。一般的に赤ワインを飲むときの目安として、15℃ぐらいというのはどうでしょう。軽い赤ワインならもう少し冷やして、12℃近辺でもよいかもしれません。

一般論として赤ワインでは、温度を下げるにしたがって、収斂味が増し、酸も強調されるため、飲みにくく感じます。また逆に温度を上げていくに連れて、タンニン分の収斂味は穏やかになるものの、酸がボケた感じになって不満が出ることになります。

ですから、赤ワインの飲み頃の温度というのは、そのワインの持つ酸やタンニン分の強さの感じで変えてやると良いというのが理想的ではあります。

ただ実際にワインを飲むときに、温度計をワインの中に入れて温度を計測するなどということは興ざめです。目安の温度はお示しはしましたが、実際にその温度になっているのかどうかをチェックするなどということは、現実的ではありません。

そこで感覚的な目安として、『白ワインは冷やしすぎず、赤ワインは少しひんやり感じるぐらいに』ということを提唱したいと思います。白ワインを口にしたときに、とても冷たくて頭に冷たさが伝わるほどだと、たぶん冷えすぎです。赤ワインは口にしたときに、少しひんやりとするぐらいがいい感じです。口にしたときにひんやり感がなく、なんとなくぬるっとした感じだとおそらく温度は高すぎです。

とはいっても、ワインを飲む温度に決まりはありません。ご自身が心地よいと思った温度で飲むのが一番です。ですから、あまり格言のようなものにとらわれる必要はありませんが、確かにワインのタイプによっては、飲む温度を変えてやると、より美味しく飲めるということがあります。ですからワインをお飲みになる時に、それぞれのワインで飲み頃の温度というのを、少し気にされるということがあっても良いのではないかと思います。

(伊藤嘉浩 2012年2月)



ワインについて、ちまたで信じられていることは正しいか【その2】では、続けて

(5)二酸化イオウ無添加のワインは、より良質なワインである。
(6)ワインは熟成するので、年数を経過したほうがおいしくなる。
(7)ワインの専門家は、ワインを飲んだだけでその銘柄やぶどう品種、ヴィンテージなどがわかる。

を取り上げています。どうぞご覧下さい。



【関連ページ】

それぞれの項目について、以下の【関連ページ】もご覧ください。

(1)シャブリのあの火打石臭といわれる独特の香りや、カチッとした飲み口の特徴は、石灰質土壌からもたらされる。
現代のぶどう栽培とワインの個性ーテロワールとの関連でー

(2)テロワールとは土壌のことをいう。
テロワール(terroir)について

(3)ワインはアルカリ性なので健康によい。
酸化と酸度ーワインは酸化すると酸っぱくなるのか

(4)白ワインは冷やして、赤ワインは室温で飲むのが良い。
ワイングラスの重要性
飲み残したワインの保存法―どんな方法が有効か 【第1回】
飲み残したワインの保存法―どんな方法が有効か 【第2回】


ワインについて、ちまたで信じられていることは正しいか【その2】




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