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 ワインについて、ちまたで信じられていることは正しいか【その2】


ワインについて、ちまたで信じられていることは正しいか【その1】』では、
  1. シャブリのあの火打石臭といわれる独特の香りや、カチッとした飲み口の特徴は、石灰質土壌からもたらされる。
  2. テロワールとは土壌のことをいう
  3. ワインはアルカリ性なので健康によい。
  4. 白ワインは冷やして、赤ワインは室温で飲むのが良い。

を取り上げました。

今回【その2】では、

(5)二酸化イオウ無添加のワインは、より良質なワインである。
(6)ワインは熟成するので、年数を経過したほうがおいしくなる。
(7)ワインの専門家は、ワインを飲んだだけでその銘柄やぶどう品種、ヴィンテージなどがわかる。


について見てみます。


(5)二酸化イオウ無添加のワインは、より良質なワインである。

見解:かなり丁寧な説明が必要だが、多くの場合 ×

二酸化イオウとワインの関係の基礎を正しく知ることは、ワインの流通・販売のプロフェショナルにとって非常に重要なことです。ワインを造るワインメーカー(醸造家)にとってはもっとも重要な事柄のひとつです。

 

ここで私が見解を×にした根拠を示すには、本来はワインの基礎の基礎から話を始める必要があろうかと思います。

私はワインの醸造に当たり、二酸化イオウを全く使わないというのを、完全否定するものではありません。これはひとえにワインメーカーの考え方次第だと思います。しかしまったく二酸化イオウを使わないでワインを造るというのは、リスクが大きすぎるとも考えています。

夢もロマンもない言い方をお許しいただければ、ワインは結局のところ、微生物の代謝と化学反応から生まれます。ワインの醸造過程で起こる、さまざまな微生物の代謝と化学反応の中には、ワインに飲み物として不快な成分が発生することもあるのです。たとえばワインの酸化はその一例です。また、ワインの風味に悪影響を及ぼすバクテリアなどの微生物が繁殖したりもします。

ワインを造るにあたって二酸化イオウを使わないとなると、これらに何か別の形で対処する必要が出てきます。二酸化イオウを使わなくてもワインは出来ますが、結果として良質なワインができるかどうかといえば、ワインの品質がなりいき任せにならざるを得ないというのが現実だと思います。

確かに二酸化イオウという物質名を聞けば、おどろおどろしく思いますし、そんなもの入れない方がいいに決まっている、という意見に反論するすべは大してないように思います。

私が時々例として引き合いに出すのは、水道水に使われる塩素です。塩素は学校のプールにも使われます。ご承知の通り、塩素自体は人体に有害です。しかし水道水にもプールにも塩素は不可欠です。なぜなら、適切な量の塩素を入れないとその水の微生物管理が難しいからです。

幸いワインの場合は、二酸化イオウを使わないで、微生物管理を放置したとしても、体に害を及ぼすような微生物は繁殖しません。しかし繁殖する微生物の中には、ワインの風味を落としたりする物質を作り出すものもあります。

二酸化イオウを全く使っていないワインこそが良質なワインだと主張されれば、反論する根拠は希薄だといえます。なぜなら、ワインはそれをお飲みになる方が良いと思って選択されるワインこそが良いワインだからです。しかし、ワインの長い長い歴史の中で、人々はワインの品質を吟味してきたというのも一方では事実であります。


(6)ワインは熟成するので、年数を経過したほうがおいしくなる。

見解: 限られたワインに対しては○ しかし多くのワインは×


確かにワインの中には、10年、20年という長期にわたって熟成し、飲みごろを迎えるというものもあります。しかしだからと言って、多くのワインがそういうワインであるということはないと思った方が良いようです。むしろそういうワインは、例外的なワインだととらえたほうが良さそうです。

乱暴な言い方かもしれませんが、白ワインでは長期の熟成に耐えるワインはめったにないと思って、何年もしまいこまずに早いうちにお飲みになるのをお奨めします。赤ワインも、日常的にお飲みになる価格帯のワインなら、しまいこまずにお飲みになるのをお奨めします。ただし、日常的にお飲みになるワインが5000円以上程度のワインだ、という方はちょっと別です。

もちろん熟成を楽しみに、ワインを時間をかけて保存しようという場合は別です。熟成を楽しみにワインを長期に保存される方は多く、こうした方々にとって時を経て熟成をしたワインを開けて飲むことは、このうえないワインの楽しみであります。しかしこうしたワインの楽しみが、どのワインに対しても訪れるかというと、そういうわけではありません。

ワインは造られてからどれくらいの時間が経過したときに飲むべきか。これも飲み手の全くの好みです。柿を食べるのに、硬めの柿を好む方もあれば、ちょうど熟れ頃の柿を好む方もあれば、かなり柔らかくなってとろけるぐらいの柿が好きだという方もおいでです。ワインにも似たところがあって、あまり断定的に言うことはできません。

ここでは一般論としての見解を示してみましたが、いろいろとお試しになってみて、ご自身の好みの感じを見つけられると良いと思います。


(7)ワインの専門家は、ワインを飲んだだけでその銘柄やぶどう品種、ヴィンテージなどがわかる。

見解:○△×???

 

これはなかなか答えにくい設問です。ワインのプロフェショナルは、非常に多くのワインを試飲していますから、その蓄積は大きなものがあります。とはいえ、世界では毎年おそらく数百万種を超えるワインがリリースされていますから、そのうちのひとつを取り出して、それが何か当てろと言われてピタリと当てられるというのは、神の領域にいる人に違いありません。

しかし当たらずとも遠からず、というところへは行きつける可能性は、一般の方に比べれば高いと言えるのではないかと思います。出されたワインすべてにそれが起こるというわけにはいきませんが、優れたワインテースターは、近いところまで行きつける可能性は高くなるだろうと思います。

ただしワインテースターは、ワインを吟味するときに銘柄当てやぶどう品種当てを最優先にしているわけでもありません。吟味の過程でテースターは、そのワインに対していろいろな考察をしています。その吟味・考察の過程の中で、使われているぶどう品種や産地・ヴィンテージなども頭に浮かべたりするわけです。

近年は、ワインの生産地は世界中に広がり、ワインのスタイルも多様化しています。ですから、今まであまり出会わなかったワインや未知のワインと遭遇することもよくあり、これまでの経験則が当てはまらないケースも多くあります。

消費者の皆様からは、ワインのプロというのは銘柄やぶどう品種・ヴィンテージなどが、たちどころにわかると思われているふしがあるかもしれませんが、実際のところはそういうわけにはなかなかいかないというのが正直なところかと思います。

(伊藤嘉浩 2012年2月)



ワインについて、ちまたで信じられていることは正しいか【その1】では、
  1. シャブリのあの火打石臭といわれる独特の香りや、カチッとした飲み口の特徴は、石灰質土壌からもたらされる。
  2. テロワールとは土壌のことをいう
  3. ワインはアルカリ性なので健康によい。
  4. 白ワインは冷やして、赤ワインは室温で飲むのが良い。

を取り上げています。どうぞご覧下さい。



【関連ページ】

それぞれの項目について、以下の【関連ページ】もご覧ください。

(5)二酸化イオウ無添加のワインは、より良質なワインである。
『WORLD FINE WINES 専門資料のご案内』の
『A-1 果汁及びワインにおける二酸化イオウの使用』

(6)ワインは熟成するので、年数を経過したほうがおいしくなる。
有名産地のワインほど吟味すべし

(7)ワインの専門家は、ワインを飲んだだけでその銘柄やぶどう品種、ヴィンテージなどがわかる。
ワインメーカーのテースティング
ワインの香りを嗅ぐということ
ワインの流通と販売に携わる人たちがすべきテースティング


ワインについて、ちまたで信じられていることは正しいか【その1】




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