ワインを飲むのには何か器が必要です。真っ先に頭に浮かぶのはワイングラスという『言葉』ではあるのですが、実際にワインは家庭ではどんな器で飲まれているのでしょうか。
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どのグラスがワインをおいしく飲むのに適しているのでしょうか。
またそれはなぜでしょうか。 |
ワインの流通・販売の現場に身をおいていらっしゃる皆さんの多くは、注がれたワインがグラスの形状によって、それがまったく同じワインであるにもかかわらずずいぶん印象が変わる、ということは認識されておられることと思います。
しかし消費者の多くが、グラスの形状によってワインの印象が変わる、おいしく感じる、ということをワインを飲むときに認識しているかというと、そういうことは実はあまりなさそうです。それは無理もありません。同じボトルから注がれるワインであるので、どんな器に注がれようが同じワインであるはずで、したがって飲み口に変わりがあるはずがない、と論理的に考えます。
実際、ワインをよくお飲みになるご家庭でも、さすがに湯飲みや茶碗でワインを飲んでいらっしゃる方は多くないと思いますが、ビールグラスやあり合わせのグラスでお飲みになっていらっしゃる消費者はかなりおられるようです。
確かにお客さんが買ったワインですから、どう飲もうととやかく言うのもいかがかとも思いますが、適切なグラスを使うことで同じワインがよりおいしく飲めるということをお伝えすることは、販売者側としては必要であろうと考えます。
グラスによるワインの風味・味わいの違いは、実際に消費者に試してもらうと効果はてきめんです。たいていの方は『へーっ、こんなに違うの』とその違いを認識されます。
『適切なワイングラスでワインを飲むとよりおいしくワインが飲める』ということを知ることは、消費者にとってはちょっとした驚きです。ワイングラスを使うというのは、単に格好付けや雰囲気作りのためということだけではなく、適切なワイングラスを使えば同じワインがよりおいしく飲める、ということを何かの折に消費者に実体験してもらうことは、実は非常に有効なワインの販促策のひとつです。
この際に重要なことは、決して『消費者を生徒にしない』あるいは『生徒のように扱わない』ということです。肝心なのはあなたの顧客が『へーっ、ほんとだ』と思うことです。顧客がなるほどそうだと感じたときは、口に出していわなくても表情を見ているだけでわかります。
よくデパートやスーパーマーケットなどでワインの試飲をやっていますが、その多くは例の小さなプラスチックカップにワインを数ミリ入れて飲ませています。このやり方が悪いとはいいませんが、本当にワインを顧客に販売したいと考えるなら、このやり方は再考されるべきでしょう。
顧客にとって『へーっ』と思うことは、発見でありよい情報なのです。ですからこの小さな『へーっ』が得られる店というのは顧客からするといい店であり、顧客にとって有益な情報を提供してくれる店は大切な店なのです。
ワインを販売するサイドの人たちにとって、消費者がどういう環境や状態でワインを消費しているのかということを知り、そこにもし消費者がもっとワインを楽しめるような手立てがあるのなら、消費者をそちらのほうへ導いて差し上げるということは酒小売業にとっては重要なことだと思われます。
今回は消費者がワインを飲む環境の中で『ワイングラス』を一例として取り上げましたが、実はこうした消費者がワインを飲むうえで気になっているちょっとした事柄はほかにもいろいろあります。
こうした側面からの消費者援助は、ワインの販売において即時即効性は持たないかもしれませんが、顧客からの信頼獲得・顧客固定化の意味からは非常に有効です。またこうした活動は、特段の経費を必要とするプロモーションではなく日ごろの消費者とのちょっとしたコミュニケーションの中でやっていけることです。
ぜひ貴店の顧客との間の良好な関係構築を期待いたします。
(伊藤嘉浩 2005年5月)
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