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Home >Wine Making > ワインでいう『補糖』って何?−その是非論 ワインの世界ではときどき『補糖』という言葉に出くわします。補糖とは文字通り、糖を足すという意味ですが、糖を足すということがワインとどう関係があるのか、ワインにどういう影響を与えるのか、ワインマーケット関係者の間でもいまひとつ要領を得ない状況が発生しているようです。 ワインの補糖をめぐっては、専門家の間でも議論が交わされるところで、その是非論を含めてそれぞれの立場でとるスタンスが変わります。今回はワインの『補糖』のアウトラインについて見てみたいと思います。 そもそも『補糖』って何? そもそも補糖って何でしょう。補糖ということば自体は一般用語で、ワインだけに使われる言葉というわけではありません。しかし『補糖』をワインの世界で使うときは、その意味は限定されます。 ワインで使う『補糖』とは、ワインを発酵させる前の段階の原料ぶどう果汁に、糖を加えることを言います。ワインの補糖はよく誤解されて、ワインを甘くするために糖が添加されると思われがちですが、そうではなく、ワインのアルコール度を高めるために行われます。したがって補糖をしても、ワインが甘くなるわけではありません。 補糖は、Chaptalization(仏語:シャプタリザシオン、英語:シャプタリゼーション)とも言っています。(Chaptalizationは、18世紀から19世紀のフランスの化学者Jean-Antoine Chaptalの名前からきています。) すでにご案内のとおり、ワインのアルコール分は、その原料であるぶどうに含まれる『糖』が、酵母の働きによってアルコールに変換されたものです。もし原料ぶどうの糖度が低いと、その糖度に見合った低いアルコール分しか得られないことになります。 そこで糖度の低いぶどう果汁に人工的に『糖』を足して、ぶどう果汁の糖度を上げるということが行われるのです。こうすることによって高くなった糖度のぶどう果汁からは、より高いアルコールが得られることになります。このことを『補糖』と言っています。 実際にはどんな糖が添加されるのか さて、糖を添加するといっても実際にはどんな糖を使っているのでしょう。『糖』というのはなにか甘い物質の包括的な呼び方のような気もしますし、なにか学術的な呼び方のような感じもします。実際ひとくちに『糖』といっても実は非常に多くの種類の糖が存在します。 もしかするとグルコース(Glucose)とかフラクトース(Fructose)という糖の名前を聞いたことがおありかもしれませんが、このふたつの糖が、ぶどうが本来持っている主要な糖の種類です。ワインのアルコールはこれらの糖が変換されて生まれてきます。 しかしワインの補糖に使われる糖は、ほとんどの場合サッカロース(Sucrose/Succharose)と呼ばれる糖が使われます。この糖は、正体を明かせばわれわれが日常的に家庭で使っている『砂糖』のことです。つまりありていに言えば、ぶどう果汁の糖度を高めるために砂糖を足している、ということになります。 いまひとつ、補糖の原料としてぶどうの濃縮果汁が用いられることもありますが、おそらくは補糖をしている大多数のワイン生産者は、砂糖を使っていると思われます。 さてこの『補糖』をめぐって、ワイン界ではさまざまな意見が聞かれます。次にそのことを見てみましょう。 補糖は必要なのか、必要でないのか 補糖は必要なのか、必要でないのか、ワインの補糖論議の出発はいつもここから始まります。個人的な意見としては、かなり冷涼な地域では、年によってばらつきがありますが、ぶどうの成熟度がかなり不足することもあり、補糖はやむをえない場合もあるのではと考えています。 しかし現在特にヨーロッパで批判の対象となっているのは、本来補糖の必要のない地域でも、広範に大量の補糖が行われているということに対してです。結局この問題は、ワインに十分なアルコール分が得られるかどうかという問題ですが、本来は、ワインのアルコールはぶどうが持つ糖分から得られるものです。 これはぶどうの品質に直結する問題ですが、特にヨーロッパの北部のワイン産地では、ぶどうに糖度が足りなければ、砂糖を加えればいいという安易な考えが蔓延し、高品質なぶどう作りがおこなわれていないという批判があるのは事実です。 未熟なぶどうに対しては、補糖によってワインのアルコール分の不足だけはカバーできますが、しかし未熟なぶどうから良質なワインはできないというのは明らかなことです。ワインはアルコール分さえ高ければいいというわけではなく、フェノールの蓄積をはじめ、ぶどうが十分に熟すことから得られるさまざまな物質の組成が良質のワインには不可欠だからです。 2008年6月からEUのワイン大改革が実際に動き出しましたが、補糖の禁止問題は、その大改革の最大の眼目で、合意達成をめざした最難関の事項でした。しかし結局EU内で合意できず、大幅な妥協の末改革が動き出したという経緯があります。 フランスワインの長期低迷は、明らかに品質の低迷にあるといわれ、フランスのワイン界にとってぶどう栽培部門の大改革は、ワインの品質向上に欠かせない重大な根本改革となるはずでした。 最近のヴィンテージでは、地球温暖化のせいか、ヨーロッパのどのワイン産地を見回しても不良な年はありません。きちんとぶどうを作れば、補糖の必要はないとする生産者も多いのも事実です。しかし実際には、きちんとしたぶどう栽培がなされず、糖度が不足したぶどうが大量に供給され、そのぶどうに補糖がされてワインが造られているという構図は、なかなか改善されないようです。 補糖それ自体は必ずしも大きな非難を受けるものではないと思いますが、実際には本来は不必要な場面で補糖がされているというところに批判があるようです。 ヨーロッパ以外のワイン産地の補糖の状況はどうか ヨーロッパ以外のワイン産地、いわゆるニューワールドと呼ばれるワイン産地の補糖の状況はどうでしょうか。 一般的には、ニューワールドと呼ばれるワイン生産地で、補糖が議論されることはほとんどありません。ただし冷涼な生産地域、たとえばニュージーランドやアメリカのオレゴンなどは補糖が認められています。 ニューワールドのワインは一般的にぶどうが熟し、そのため比較的高いアルコール度が得られるのですが、今度は逆に、酸度が低下するという悩みを抱えています。そのため補糖は禁止していても補酸を許可している国・地域もあります。 ヨーロッパの生産者の一部は、補糖をすることを責めたてるのなら、ニューワールドの生産者の補酸も非難されて然るべきだと言っています。 ワインが補糖されているかどうかをテースティングで見分けるのは困難です。しかし、アルコールの度合いとワイン全体のバランスがとれていないワインは散見されます。結局、補糖の問題は、ぶどう栽培とぶどうの良し悪しに戻ることになり、最終的にはワインの品質に影響することになります。 『良いワインは良いぶどうからしか生まれない』この鉄則は変わることはないでしょう。 (伊藤嘉浩 2008年10月) 参考までに、主な補糖を許可している国・地域、許可していない国・地域を挙げておきます。
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