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ニュージーランドのワイナリー、EU向けワインに違法な加糖で巨額の罰金 【ニュージーランド・EU】 2018年12月12日


ニュージーランドは、ニュージーランドの著名なワイナリー・Yealands Estate Wines(イーランズ エステート ワインズ)が、EU(European Union)向けの輸出ワインに、ワイン法に反して違法に砂糖を添加していたとして、ワイナリーと責任者らを有罪として巨額の罰金を科した。

罰金はYealands Estateに対して$400,000(ニュージーランドドル:およそ3200万円)、ワイナリー運営の総責任者と醸造責任者にそれぞれ$35,000(およそ280万円)、その時の所有者のPeter Yealands氏に$30,000(およそ240万円)が科された。

EUのワイン法では、ワインの発酵終了後に糖を添加することは許されていないが、同社はそれに違反して、2013年から2015年にかけて、およそ380万リットルに及ぶワインに対して、内部通告者による通報で当局に指摘されるまで続けていた。

被告らは、ワインの醸造記録を書き換え、政府が輸出を認める許可書類に偽りの申告をしたとして有罪となった。ワイナリーの所有者のPeter Yealands氏は、それを指摘されていたにもかかわらず、手を下さなかったとして同罪とみなされた。

EUに輸出された同社のワインは、同社の輸出の7.5パーセントに当たるとされるが、ニュージーランドのワイン界では、この一件がニュージーランドワインの評判をおとしめることになるのではという警戒感が広がっている。

ニュージーランド第一次産業省(Ministry for Primary Industries :MPI)は、このワインを飲んでも健康被害はないと強調し、EUに向けて航行中だったワインは引き戻した。これらのワインはEUでは販売できないが、ニュージーランド国内や他のマーケットでは売ることができると声明した。

しかしながら第一次産業省の調査責任者は、この事件はニュージーランドワインの評判を危機にさらし、特にニュージーランド政府の発行する輸出許可の信頼性を揺るがすものだと指摘している。

EUでは、発酵終了後の糖の添加は認められていないということは、ワイン界にいるものなら誰でも知っていることで、被告らは自分たちがやっていることがどういうことであるのかはもちろんよくわかっていた、とその悪質性を指摘する。

Yealandsの従業員のひとりが社長のPeter Yealands氏に状況を申し出たものの解雇され、結果内部通報者となって事件が明るみに出たのが今回の経緯のようだ。

ニュージーランド政府とワイン関係者は、今回の事件を“極めて、極めて憂慮すべき事態”ととらえていて、なぜ今回の事件が起こったのかの検証を含め、二度と不正が行われないようにすると語っている。また今回の事件はニュージーランドのワイン界に対しての強い警鐘だとしている。


【Behind the Scene】

この一件は、ワイン醸造のテクニカルなところであるので、わかりづらいと思います。EUでは、ワインの発酵前、つまりぶどう果汁の段階では糖の添加を認めています。しかしワインの発酵終了後の糖の添加は認めていません。

発酵前の果汁への糖の添加を、Chaptalization(仏語:シャプタリザシオン、英語:シャプタリゼーション)と言っています。日本語では『補糖』と言っています。

しかしワインの発酵終了後の糖の添加は、補糖とは別の目的で行われます。EUではそれを禁止しているわけです。

Yealandsが何を目的で発酵後のワインに糖を添加したのかは明らかにはされていませんが、おそらくはワインに残糖分を残したかったからではなかろうかと思います。ワインに残糖を残す方法はいくつかありますが、EUでは糖の添加は禁止しています。

ただEUではこの手法は禁止ですが、他の国では許可しているケースもあり、Yealandsが行った手法が、ワイン醸造の手法として全く受け入れられないということではありません。

問題は、Yealandsが当該輸出地域では違法だと知りながら行っていたことと、政府の発行する輸出許可証に虚偽を記載して輸出許可を受けていたことにあるのだろうと思います。

ニュージーランドにとってワインは非常に重要な輸出産品であり、そのお墨付きである政府発行の輸出許可証が信用できないということになれば、大ごとです。ニュージーランドワイン全体の信用失墜にもなりかねないと危機感を抱くのも無理からぬことだと思います。

今回のケースは、ワインの醸造上のテクニカルな部分を理解すると、全容がよりわかりやすくなるのではないかと思います。

(伊藤嘉浩)




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