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ビオディナミ/バイオダイナミックスによるワインー生産者の言い分 【日本】 2007年11月28日


2007年11月27日、東京で『La Rennaissance des Appellations』と題したBiodynamics(フランス語ではビオディナミ、英語ではバイオダイナミクスと発音)によって造られたワインの試飲会が開催されました。この試飲会ではおよそ60の生産者のワインが出品され、そのうちの多くは生産者が直接来日したイベントとなりました。

私のバイオダイナミクスのワインについての関心事はいくつかありましたが、その中で今回そこに集まった生産者達が、一様にはっきりとした見解を示したことがありましたのでここでお伝えします。

それはバイオダイナミクス(ビオディナミ)によって造られたワインの品質についてです。日本においては、最近バイオダイナミクスあるいはオーガニックのワインに対する関心が高まっています。しかし、それらを標榜して輸入されるワインの一部に、粗悪なワインがあるのも事実です。

私がこれまで日本の流通関係者からきいた、それら粗悪と思われるワインについての説明は、『これは自然に造られたワインなので、それがこのワインの持つ特徴なのです。』というものでした。

粗悪という言葉はかなりインパクトが強いので、出来の悪いと言い換えたほうが良いかもしれませんが、いずれにしても世界のワイン界(特にワインメーカーサイド)では問題視されるワインです。

バイオダイナミクスを実践しているワイン生産者達が、本当にこうしたワインを許容あるいは意図しているのか、かねてから確かめてみたいと思っておりました。

私は会場で多くの生産者にこのことを尋ねましたが、返ってきた返事はすべて『No』でした。また、一部の生産者はすでにこの問題を把握しているらしく、ワインをバイオダイナミクス・ビオディナミという名のもとに販売すると、自分のワインも出来の悪いワインを造る生産者の一味だと思われかねないと言う造り手もありました。

バイオダイナミクスによるワインの真髄はその品質にあり、彼らがバイオダイナミクスに転換した最大の動機はそこにあると言います。バイオダイナミクスについては、もっと大きな思想や哲学のようなものが背景にあるようで、簡単に要約するということは困難だと思いますが、現実のマーケットでは、まともな生産者の取り組みに反して、それを使ってうまく商売しようとする人たちもいるようです。

Biodynamicsのワインへの理解はそう簡単ではなく、世界のワイン専門家筋も手を焼いている部分です。なかには宗教がかっているとかカルト集団のようだと評する人もいます。しかしぶどう栽培・ワイン醸造の観点からみて、彼らのやっていることが他の人たちと神がかり的に違うかというと、そんなことはないようです。

私自身、ぶどう栽培・ワイン醸造の観点からバイオダイナミクスについてよく知る必要があると考えています。マーケットで、バイオダイナミクスあるいはオーガニックワインの分野の正しい情報が流通し、消費者が納得するワインが流通することを期待します。

(伊藤嘉浩)


【関連ページ】

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