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Home > 2022年のワイン界の展望 2022年1月6日 この2年というもの、全世界でコロナウイルスが猛威を振るい、各界が大きな打撃を受けました。ワイン界もその打撃を免れることはできず、極めて大きな影響を受けました。 特に飲食業界では、世界中でのたび重なるロックダウンで、時間短縮・閉店を余儀なくされ、ワイン消費には大きな痛手となりました。家飲み用のカジュアルな価格帯のワイン消費では、店頭売り・ネット販売でも好調が伝えられましたが、料飲店での中高級ワインは大きな打撃を受けました。 2021年は、先進国を中心にワクチン接種が進み、コロナ感染の収束が期待されましたが、世界全体でみると必ずしもそうはならず、2022年も引き続き感染対策が強く求められることとなりそうです。 コロナ感染前と、コロナ感染が始まって以降のワイン界を比べてみると、ひとつの大きな問題が指摘できるように思います。それはワイン界の情報流通です。 コロナ感染前は世界中を人が行き交い、様々なワイン情報が交換されました。しかし感染後は人流が途絶え、情報のやり取りが非常に限定的となりました。世界各国で行われるワイントレードフェア・ワインショーはことごとく中止され、現物のワインと接する機会も大幅に制限されました。 2022年はその環境が改善され、また再びワイン界が活況を呈することができますよう、期待したいと思います。 そんな環境下で、世界のワイン界で大きく議論されたトピックスがありました。ひとつはワイン界における地球温暖化の問題です。もうひとつはワイン界におけるサステイナビリティの問題です。 ワイン界における温暖化の問題は今に始まったことではありませんが、昨今の世界各地のワイン産地で経験する熱波の襲来や大規模な山火事、雹や遅霜による被害など、異常気象によるぶどうの作柄への影響の顕在化は、ワイン生産者の不安を募らせています。 そうした突発的な異常事態は、温暖化によって引き起こされているのかもしれないという疑念と、現実の気温上昇によるぶどうとワインのスタイルの変化は、一層ワイン生産者を不安にさせていると思います。 こうして迫りくる温暖化の波に、ワイン界ができることは限定的かもしれませんが、それぞれのワイン産地と個別のワイン生産者では、将来に備えて準備を進めてもいます。 例えばボルドーでは、温暖化に備えて新品種の導入が認められましたし、ブルゴーニュでも新品種の導入が議論されています。 2022年は、世界のワイン界ではさらに温暖化の議論が活発化するのではないかと思います。 近年のワイン界のもうひとつの話題はサステイナビリティです。近頃は日本でもSDGs(Sustainable Development Goals)という言葉が日常で使われるようになっていますが、世界のワイン生産者の中で、サステイナビリティを重視するトレンドは大きくなっているように思います。 サステイナビリティという言葉はなかなかわかりづらい言葉だと思いますが、環境維持とか環境保護といった意味合いで使われていると思います。そのひとつの動きがオーガニックのトレンドです。 このところ、世界のワイン界ではオーガニックなぶどう栽培の流れが、以前にも増してみられるようになっていると思います。例えばボルドーやナパといった世界を代表するワイン産地でも大きくその流れが見られます。 ワイン生産者がなぜオーガニックを採用するのかは、それぞれに理由があると思いますが、その理由のひとつとして、環境維持・環境保護を掲げる生産者は増えているように思います。中にはそれをマーケティングツールとして使おうとする向きも見受けられると思います。 2022年のワイン界を展望するとき、やはりコロナの感染が収束に向かうかどうかは大きな要素だと思います。日常生活でマスクの必要がなくなって、気兼ねなく笑って生活ができるようになれば、ワイン界も活況を取り戻し、コロナ以前の状態に戻れるのではないかと思います。 また世界の人流が復活し、以前のようにワインの情報がダイレクトでやり取りされ、現物のワインと接する機会が増えるといいと思います。 (伊藤嘉浩)
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