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ニュージーランド政府、ワインの地理的表示保護制度を導入へ　【ニュージーランド】　2015年4月18日

ニュージーランド政府は、ワインとスピリッツに関して、その製品がどこで採れたのかを示し、その製品の産地を特定し保証する地理的表示保護制度を導入する。

このシステムは、世界的にGeographical Indications（ジオグラフィカル・アイデンティフィケーションズ：GIｓ）と呼ばれ、その製品がどの地理的エリアでとれたのかを明確にして、原産地とその製品の素性を保護しようとするもの。

例えばChampagneとかChiantiなど、ラベルにその地域名が表示されていれば、必ずそのエリアでぶどうが作られ、ワインが造られたことが証明される。それによってそのワインと産地は保護されることになる。

かつてはアメリカやオーストラリアなどでも、Chablis（シャブリ）とかChampagneとかを表示した地元産のワインが多く売られていた時代があったが、今では各国とも自国のワイン生産地のGeographical Indications（GIｓ）の区域設定とその保護は極めて重要だとして、施策を進めている。

ニュージーランドのワインは、今では世界市場で重要な位置を占めるようになっており、Marlborough（マールボロ）やHawke’s Bay（ホークスベイ）、Central Otago（セントオラル・オタゴ）といったワイン産地は認知度が上がっている。

ニュージーランドでは2007年に一度Geographical Indications (Wine and Spirits) Registration Actという法律が通過したが、今日まで実際に施行はされてこなかった。

この法律の発効は、消費者にはワインの産地が保証されることによる安心感を与え、また輸出市場においてはワインの原産地を保証し、勝手に産地を名乗ることがないようにその産地を保護することになり、ニュージーランドのワイン産業にとって有効にはたらく。

ニュージーランドにとって、ワインは今や6番目に大きな輸出産品で、今後ますますの増加が期待される有望輸出品だ。

法律は2015年後半には国会に提出され、2015年末には通過する見込み。

【Behind the Scene】

ワイン産地のGIの設定と保護は、ワイン生産国にとって大きな問題です。近年、ワイン産地とワイン消費が世界中に拡大し、有名なワイン生産地を勝手に名乗ってワインを売りさばこうという人たちは多く存在します。

一方ワイン産地では、自分のワイナリーや畑がそのGIを名乗れるかどうかは大きな問題です。なぜならそのGI（たとえばChampagne）を名乗れるか名乗れないかは、売り上げを大きく左右するからです。GIの境界をどこにするのかでいさかいも起こっています。

日本においても農業分野でのGIの導入が検討されているようです。しかし未だ日本では、例えばカマンベール（Camembert）を名乗るチーズが発売されていたりという現況があり、企業から消費者に至る原産地保証（GIｓ）の認識は高くないようです。

（伊藤嘉浩）

【関連ページ】

『オーストラリアワインでChampagneなどのラベル表示が不可に―EUとの表示問題で合意へ【EU・オーストラリア】　2007年6月7日』
『EUとオーストラリア、ラベル表示規制などで正式合意　【EU・オーストラリア】　2008年12月24日』
『EUとアメリカ、ワインの産地表示問題で合意へ　【EU,アメリカ】　2005年9月17日』

『ボルドーワインが中国市場で抱える頭痛　【フランス・中国】　2011年11月18日』
『“La Rioja”の名称使用は、アルゼンチンに軍配　【スペイン・アルゼンチン】　2011年5月6日』

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