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フォクシーフレーバーに関与する遺伝子を発見 【ドイツ】 2009年11月10日


フォクシーフレーバー(foxy flavor)と呼ばれる臭い(香り)は、ワインにとっては一般的には歓迎されない臭いとされている。この臭いは、いわゆるカベルネやシャルドネなどといったヨーロッパ品種と呼ばれる学名上ヴィティス=ヴェニフェラ(vitis vinifera)というぶどう種属には見られない独特なにおいである。

フォクシーフレーバーは、コンコードやナイアガラ、デラウエアなどといったアメリカ原産種には多く見られ、独特の共通したにおいを発する。その臭い成分は必ずしも不快なものではないが、世界のワイン界においては一般的には歓迎されず、素性のよくないワインとして見られる傾向が強い。特に長いワインの歴史を持ったヨーロッパにおいては、拒否感が強い。(日本では、その華々しい香りからその臭いを好む人も少なくない。)

このフォクシーフレーバーの発生源として、最新の研究でぶどうの遺伝子が関与していることが突き止められた。

この研究は、ドイツのミュンヘン工科大学(Technical University of Munich)の研究者らによってJournal of Agricultural and Food Chemistryに発表された。

研究者らは、遺伝子操作によりフォクシーフレーバーを取り除いたり、病虫害に耐性のあるぶどうを開発することによって、ヨーロッパ品種に劣らないぶどうをアメリカ原産種で達成する可能性を模索したいとている。


【コメント】

ワインに関係する遺伝子操作の研究は、いまや世界中で行われています。ひとつは、ぶどうという植物自体の遺伝子の操作研究、いまひとつは、酵母や乳酸菌などワインを作り出す上での微生物に対する遺伝子操作研究です。

ワインに対する遺伝子操作は、専門家や研究者の間でも賛否両論あり、それぞれの立つスタンスによって賛否の主張が変わります。

問題なのは、そうした議論が、マーケットの流通関係者や消費者にはほとんど伝わっていないということです。

私は遺伝子操作ワインの可否の選択は、マーケットや消費者にきちんとした判断ができうる情報が提供され、遺伝子操作されたワインをどう見るのかを、最終的には消費者がするべきだと思っています。

現状は、マーケットも消費者も知らないところでどんどん研究が進んで、すでに一部は実践に移されています。

私自身は、ワインの遺伝子操作の問題は、ワイン界の潜在的な火種となるのではないかと考えています。

蛇足ながら、フォクシーフレーバー(foxy flavor)は、かつて日本ではその字面から“狐臭”と訳され、狐のにおいがするワインと誤解されましたが、その語源はFoxと言う人が名付けたとか諸説あるようですが、動物の狐とは関係はありません。

(伊藤嘉浩)



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