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ボルドーのトップワイン、ブームは終焉か 【フランス】 2009年3月2日


2008年秋以降の世界経済の収縮は、多くの消費財の販売に大きなダメージを与えているが、ワインも例外ではないようだ。

特に、高額で取引され隆盛を誇ってきたボルドーのトップワインは一転、その大きな波をまともに受けている。ヨーロッパのワイン流通関係者らは、この現象をボルドーワインブームの終焉が来た、ととらえているようだ。

実際2008年暮れごろから、2009年のボルドーワインの『プリムール売り』(en primeur)を危惧する声は、シャトー側からも多く発せられており、中止せざるを得ないとか9月に延期すべきだなどの声も聞かれる。

ボルドーの高級ワインブームは、2000年以降特に顕著で、2003年や2005年のヴィンテージは驚くべき高騰ぶりを見せたことは記憶に新しい。

しかしそのブームも、経済環境の激変で様変わりしたということだ。結局のところ、ワインを買う側が支出できない環境にあるということだが、今回の事態はプリムール売りのシステム自体のありかたを問うことにもなりそうだ。

プリムール売りのシステム自体を批判する声は根強く、ワインを買うネゴシャンをはじめ流通側は、ほとんど言うなりの価格と支払い方法で買わざるを得ない状態だったが、今回初めて買う側が価格交渉権を持つ機会にめぐり合うかもしれない。

現状世界消費は冷え込んでおり、ヨーロッパ、アメリカでは、個人のクレジットカード使用への信用供与が厳しく査定されるようになったといわれる。またボルドーワインに専門に投資する世界最大のファンドのひとつVintage Wine Fundの価値は33パーセント下落している。

ボルドーのトップワインにとって、ワインが一般の消費者がいつか飲んでみたいと思う憧れの高級ワインから、今や投資あるいは投機目的の、飲まれることはない金融商品になってしまったことが、最も悲劇的なことと言えるのではないだろうか。

(伊藤嘉浩)



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