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IGTワインをめぐって賛否両論 【イタリア】 2006年12月15日

イタリアのワイン界でIGTワインのあり方をめぐって議論が活発化している。

IGT (Indicazione Geografica Tipica)は、フランス流の分類ではヴァンドペイ(Vin de Pays)に相当するカテゴリーだが、実態的にはDOCGやDOCのがんじがらめのシステムを良しとしない、品質を求める生産者たちが敢えて選択しているカテゴリーといわれてきた。

このカテゴリーの先駆的なワインは、Tignanello(ティニャネッロ)やSassicaia(サシカイア)などだが、発売当時はまだIGTのカテゴリーはなく、彼らは最も下位の分類であるVino da Tavola(ヴィノダターヴォラ=テーブルワイン)を選択した。

イタリアも1980年代、フランスのAOCシステムにならってDOC(Denominazione Origine Controllata)システムを導入したが、実態はあまりうまく機能していないというのは多くの一致を見るところだ。

たとえば近年もてはやされているトスカーナのスーパータスカン(Supertuscans)などはその一例で、IGTのクラスに分類されている。現在ではIGTに分類されるワインは、ピエモンテを除いてイタリアのすべての生産地域に存在している。

こうした生産者たちは、DOCの規制にとらわれず、地元のぶどう品種以外も取り入れて、より優良なワインを造ろうとする生産者たちと見られていたが、最近ではこのIGTワインをめぐってさまざまな議論が聞かれるようになっている。

ワインジャーナリストのRichard Baudainsは、IGTの果たした役割は、その発祥である1980年代・90年代はイタリアワインの品質向上においても極めて重要なものがあったが、いまではあまりの価格高騰も手伝って、解体的出直しが必要なほど疲労してしまった、と述べている。

議論の根本には、ワインの個性をあらわす根本であるとされるテロワールをどう考えるかという部分がある。テロワール重視派からは、カベルネソーヴィニオンやメルロといった国外のぶどうでは、真のイタリアワインの個性は表せない。このやり方で造ったワインとニューワールドのワインはどこが違うのか、と真っ向から対立している。

これに対しIGT側は、土着のぶどう品種でなくても、その土地で植えられたぶどうが、土地や風土の個性を反映したワインとなる。DOCの規制がすべてではなく、もっと自由にワインを造るべきだと反論している。

確かに最近では、イタリア全土から非常に多くのIGTに分類されたワインが生まれており、そのすべてが品質と価格が見合ったものではなくなってきているというのは否定できないようだ。しかしこの議論は、ワイン生産者たちが目指す『良いワインとは』の根本部分を問うていると見ることも出来る。

(伊藤嘉浩)


【関連ページ】

テロワール関連 4題
(その1) テロワール(terroir)について 
(その2) 現代のブドウ栽培とテロワール 
(その3) ぶどう栽培とワインの個性ーテロワールとの関連で
(その4) 土壌がワインの個性に影響を与える要因



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