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赤ワイン成分がインフルエンザの症状を軽減させる可能性―研究で 【アメリカ】 2017年8月10日


赤ワインに含まれる成分が、インフルエンザに罹ったときのつらい症状を軽減させる効果があることがマウスによる研究で示され、2017年8月、科学専門誌Scienceに発表された。同様の成分は赤ワイン以外にブラックティー、ブルーベリーなどにも豊富に存在するという。

発表したのはWashington University School of Medicineの研究グループ。マウスによる研究では、インフルエンザの発症前に植物に含まれるフラボノイド類(flavonoids)を摂取すると、発症した後の症状が軽減することが示され、人間に対してのインフルエンザの感染の研究を進める可能性を指摘している。

従来の研究で、腸内フローラがインフルエンザの感染に重要な役割を果たしているのではないかと言われてきた。今回の研究で研究者らは、どんな腸内細菌が感染から守っているのかを探ろうとした。

研究者らはclostridium orbiscindensと呼ばれる腸内細菌の存在を発見し、その腸内細菌がフラボノイドを分解し、その代謝物であるdesaminotyrosine(DATと呼ばれる)がインターフェロンを放出することでインフルエンザに対抗しているのではないかと推論した。

実際DATをマウスに与え、その後インフルエンザに感染させたところ、DATを事前に与えたマウスは与えなかったマウスに比べ、感染後の肺のダメージは著しく少なかったと報告している。

フラボノイドは植物に多く含まれる成分で、フラボノイドを多く含む食品の摂取がまずは有効ということになるが、同時にフラボノイドから腸内でインフルエンザに対抗する物質を代謝する腸内細菌が必要ということになる。研究者らは、腸内フローラを健全に保つことが重要だと指摘する。

ただしフラボノイドの摂取によって生成されるDATが、インフルエンザの感染を予防するわけではなく、マウスの実験においてもDATを与えたマウスも与えなかったマウスも感染のレベルは同じだった。

しかしDATの生成は免疫システムを活性化させ、感染後の症状が軽減された。研究者らは今後さらに、フラボノイド類を使って免疫システムに影響を与える腸内細菌を探し、同時に腸内細菌がどのように人間に作用しているのかを探るのが今後の課題だと語る。

これはマウスによる研究で、人体の複雑な営みに同様の効果があるかは全く未知だ。赤ワインを飲んだからと言ってインフルエンザの症状が軽減するという短絡な話ではないが、インフルエンザに対して何らかの有効策が見いだされるのには大きく期待したい。

(論文)
The microbial metabolite desaminotyrosine protects from influenza through type I interferon, Science



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