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アメリカ政府、海中熟成ワインの中身を問題視・販売差し止めへ 【アメリカ】 2015年3月23日


最近のワイン生産者の関心事のひとつに、ワインを海中で熟成させるというものがある。

これは海中(海底)の暗い環境で、海流の適度な揺らぎがワインの熟成に良い環境を与えるとして、世界各国のワイン生産者が取り組みを始めている手法だ。

こうした海中に沈められたワインに対して、アメリカのワインを統制しているAlcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau (TTB)は、海水がいろいろな物質で汚染されており、その海水がワインボトルの中に入り込む可能性があるとして、アメリカでの販売を認めない決定をした。

この決定は、Food and Drug Administration (FDA:アメリカ食品医薬品局)が、海中に沈められたワインの中身が、連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug and Cosmetic Act)に違反しているとの指摘をしたことによる。

FDAは、海水は様々な汚染物質を含み不衛生な環境にあり、その海水がワインのボトル内に入り込んで、飲んだ人の健康を損なう恐れがあると指摘している。

海岸線近辺の海水には、ガソリンや油・ベビーメタル・薬品残渣・農薬・下水汚物などさまざまな汚染物質が含まれ、ワインのキャップ部分が密閉的にコーティングしてあったとしても、汚染された海水がボトル内に入り込まないという確たる証拠を持っていない、とTTBは指摘し、更に海中のボトル表面で繁殖する生命体が、コルクやワックスシールを侵食し、海水と共にボトル内に侵入する可能性もあると指摘する。

近年海中でのワイン熟成をおこなっているワイナリーはいくつかあり、ボルドーのChateau Larrivet Haut-Brion、ナパのMira Wineryなどがある。シャンパーニュのDrappier(ドラピエ)も実験を行っている。

(参考)
Tobacco Tax and Trade Bureau (TTB)によるアナウンスメント(March 17, 2015)
Advisory on Underwater Aging of Wine

Tobacco Tax and Trade Bureau (TTB)によるアナウンスメント(January 22, 2013)
Alcohol Beverage Products Affected By Hurricanes And Flooding



【関連ページ】

シャンパーニュを海中に沈めて熟成を促す実験 【フランス】 2013年7月25日』
200年前の難破船から引き上げられたシャンパーニュ、そのお味は? 【フィンランド】 2010年11月19日』

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