オーストラリアでグランジ（Grange）の価格競争が激化

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オーストラリアでグランジ（Grange）の価格競争が激化　【オーストラリア】　2012年5月4日

オーストラリアで最高峰のワインと見られているペンフォールズ（Penfolds）のグランジ（Grange）が、オーストラリア国内のワイン小売の現場で値下げ競争となっている。値下げ対象となっているのは、最新の2007年ヴィンテージ。

このグランジの標準小売価格は、1本AUD625（オーストラリアドル）程度だが、Costco（コストコ）が20パーセント以上値引きしたAUD489.99を発表した。それを受けてワイン小売チェーン店Dan Murphy's（ダン・マーフィーズ）がAUD478.99で対抗した。両社はともに、低価格販売で知られる小売業だ。

オーストラリアの大手スーパーマーケットチェーンColes（コールス）とWoolworths（ウールワース）は、今のところAUD554.60を表示している。Coles直営のワイン専門店・Vintage Cellars（ヴィンテージセラーズ）は、AUD520を提示している。

ただしそれぞれの売り場では、ひとり2本までという制限がついているようで、Costcoはシドニー・メルボルン・キャンベラの3店舗に限られる。

そのほかの独立系のワイン小売業では、2007年GrangeはAUD580-600程度で売られているようだ。

Grangeは、世界市場でも花形ワインのひとつだが、オーストラリア国内のワインの小売価格にはおよそ40パーセントという高率の課税がされているため、オーストラリア国内の価格と国際市場の価格とは単純には比較が難しい。

たとえばカナダでは同じグランジが、政府の経営するリカーショップで424カナダドルとなっている。

【コメント】

ここ数年、オーストラリア経済は、世界の先進諸国の経済停滞とは裏腹に、活況を呈しています。したがって日本のように消費者の財布のひもがかたい、という状況では基本的になさそうです。

このグランジの価格競争は、グランジそのものを売るというよりも、オーストラリアワインのアイコンであるグランジを使って注目を引き、集客を高めてトータルの売り上げ増加を狙おうという戦略のように見えます。

オーストラリアのワイン産業自体は、経済の好調からのオーストラリアドル高が続き、ワインの輸出不振に見舞われているうえ、ワインの生産余剰が大きな問題となっています。今や世界屈指のワイン大国オーストラリアですが、必ずしも過去のように順風満帆というわけにはいかなくなっています。

今や破格の価格となってしまったボルドーのトップワインも、世界のどこかでこんな使われ方をする時が来るのでしょうか。

（伊藤嘉浩）

【関連ページ】

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