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シャトーラツールのオーナー、シャトーグリエを買収 【フランス】 2011年3月19日


フランスの大富豪でシャトーラツール(Château Latour)の所有者でもあるFrançois Pinault氏は、コート・デュ・ローヌ(Cote du Rhône)のChâteau-Grillet(シャトーグリエ)を買収した。

Château-Grilletは、北部コート・デュ・ローヌにあるおよそ3.5ヘクタールの小さなエステートで、それ自体がアペラシオンとなっている。

シャトーグリエは、今でこそそれほど市場の話題に上らなくなったが、少なくとも1980年代前半までは、世界で最も珍重されるワインのひとつだった。それはシャトーグリエを含む小さなエリアCondrieu(コンドリュー)が、世界で唯一Viognier(ヴィオニエ)のワインを産出する場所だったからだ。(脚注1)

特にシャトーグリエ自体が、ひとつのアペラシオンとして認められていたことで、ワインの産出量の少なさからも、世界で最も手に入りにくいワインのひとつといわれた。

その後ヴィオニエは、フランス国内にとどまらず、世界中に栽培地が広がることになったため、ヴィオニエのワイン自体の希少性はなくなった。しかしChâteau-Grillet自体はアイコン的なワインであり続けた。

Château-Grilletは、現在の所有者Isabelle Baratinの家族が1830年以降、代々受け継いできたエステートだが、イザベルの父親が1994年に急逝した後、彼女がたった一人で切り盛りしていたという。

私はシャトーグリエに何が起きていたのかは全く知らなかったが、畑を含む3.5ヘクタールのエステートの管理とワイン醸造をひとりで行うというのは、経験を持った男性でもそう簡単なことではないことはわかる。

2000年になってからは、ボルドーの醸造コンサルタントDenis Dubourdieuの助けもあってワインは良くなったといわれるが、それでも年間せいぜい1000ケースほどの生産量ゆえ、経営は楽ではなかったようだ。

今回シャトーラツールのオーナーFrançois Pinault氏がChâteau-Grilletを手にすることで、このユニークなワイナリーがどういうワインを出してくることになるのか、今後に注目したい。



【関連ページ】

(脚注1)ヴィオニエについて
試してみたいぶどう品種のワイン、あれこれ 【その2】白ワイン編
のヴィオニエの項をご参照ください。

試してみたいぶどう品種のワイン、あれこれ 【その1】赤ワイン編
ぶどうのとれる場所とワインの個性

シャルドネの親は、栽培が禁止された劣等種だった  2010年1月12日』
Stag's Leap(スタグスリープ)売却される 【アメリカ】 2007年8月1日』




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