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6100年前の世界最古のワイン醸造跡を発掘 【アルメニア】 2011年1月14日


今からおよそ6100年をさかのぼる、世界最古のワイン醸造施設がアルメニアで発掘された。

この発掘は、アルメニア、アメリカ、アイルランドの考古学チームによって、National Geographic Societyのサポートを受けて行われた。

発見の端緒は、2007年に南接するイラン国境近くのリトルコーカサス山脈の谷にあるアルメニアの小さな村の洞窟群から、古代のぶどうの種子が見つかったことで、それが考古学者らのひらめきを誘った。

遺跡では、明らかにぶどうを足で踏んでジュースにした場所やブドウ果汁を貯める場所、それを受けたと思われる深い容器などが見つかった。またごく最近まで使われていた、現代のワインプレスと似た構造のワインを搾る器具も発掘された。

また、プレスの上部やそこここに、かなりの量のぶどうの種子やブドウの搾りかすや果汁痕跡に加えて、何十本もの枯れたブドウの枝も見つかった。

これらを放射性炭素を使って年代測定したところ、このワイン醸造跡が今から6100年前のものであることが確認された。また、見つかったぶどうは、ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)であることも確認された。

これまで最古のワイン醸造跡として知られていたのは、1980年代末に古代エジプトの王スコルピオン1世の墓から発掘されたもので、今から5150年前のものといわれる。

いつごろからワインが飲まれていたのかは諸説あるが、考古学者らは7500年から8000年前ごろからだろうと考えているようだ。その根拠として、遺跡からの酒石酸や樹脂などの成分の痕跡をあげる。酒石酸はワインに多く含まれる酸であるし、現代でも松やにを添加したワイン、レツィーナが存在するように、樹脂の添加はワインの保存性を高め、風味を改善したかもしれない。

しかし両成分ともワインだけに特有にみられるものではないため、それら成分の検出だけでは、ワインの存在の痕跡としては弱いとされているようだ。

しかし今回のように物的な証拠が一緒に出れば、裏付けが取れることになろう。

現代のワインを考えるとき、たまには遠い古代のワインに思いをはせるというのも良いのではなかろうか。



【関連ページ】

『ワインの本質』

『ぶどう学の祖、Harold Olmo(ハロルド=オルモ)氏 死去 【アメリカ】 2006年7月17日』
『フランス最古のワイナリー、発掘される 【フランス】 2007年7月3日』
『シャルドネの親は、栽培が禁止された劣等種だった  2010年1月12日』
『カベルネソーヴィニオンの起源はギリシャ? 【ギリシャ】 2007年9月25日』




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