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ぶどう学の祖、Harold Olmo(ハロルド=オルモ)氏 死去 【アメリカ】 2006年7月17日

現代のぶどう研究、特に遺伝の研究で多大な成果と功績をあげたHarold Olmo氏が、2006年6月30日カリフォルニア州デイヴィスの自宅で死去した。96歳だった。

Olmo氏は、1931年から退官する1977年までカリフォルニア大学のぶどう学及びワイン学部門(department of viticulture and oenology)に奉職し、退官後も同大学で亡くなる間際まで研究を続けた。

Olmo氏の初期の研究成果のひとつは、カリフォルニアのワイン産業草創期に、カベルネソーヴィニオンとカリニャン、グルナッシュなどを掛け合わせて、セントラルバレーのような暑い気候に耐えうる新種を作り出したことだった。Olmo教授の作り出した新種のハイブリッドには、Ruby Cabernet(ルビーカベルネ)、Carnelian(カーネリアン)、Rubired(ルバイアード)、Emerald Riesling(エメラルドリースリング)などがある。

教授のさらに大きな功績は、ヴィニフェラ種(注1)(vitis vinifera)の起源が、現在のアフガニスタンとイランの国境の山岳地帯であったことを困難な現地調査をもとに解き明かし、持ち帰った種子から再度ワインぶどうの進化の実証を始めたことであった。

また、カリフォルニアではそれまで重要視されていなかったシャルドネ種が最も重要な白ぶどう品種になり、世界に波及していったのもOlmo教授の大きな功績である。

Olmo教授は世界中を調査してぶどうを収集し、その血統の解明に心血を注いだ。氏のぶどう品種収集のコレクションは世界最大級である。

1938年カリフォルニア大学デイヴィス校(University of California Davis : UC Davis)新設とともにバークレー校(UC Barkley)から移ったが、生涯で日本円で数千万円に上るお金を学部に寄付し、後学の研究を援助していたと関係者は語っている。

Olmo教授は、『ワイン界のインディアナジョーンズ』とも呼ばれている。


(注1)ヴィニフェラ種(vitis vinifera)

ぶどう品種の中の大きな分類のひとつ。カベルネソーヴィニオン、ピノノワール、メルロ、シャルドネ、リースリングなど、ワインに用いられるぶどう品種のほとんどは、種の発生起源が同じであるひとつの大きな分類グループ、ヴィティス=ヴィニフェラ(vitis vinifera)と呼ばれるグループに入ります。

ヴィニフェラ種の起源を特定するということは、ワインの起源を特定するということにつながり、非常に重要な意味を持ちます。

ぶどうの大きなグループとしてはほかにvitis labrusca(ヴィティス=ラブルスカ)、vitis riparia(ヴィティス=リパリア)などいくつかあり、ぶどうの発生起源や特長によって生物学的に分類されています。


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