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裁判所の判決で無効とされた2006年のサンテミリオンの格付けが、上院の立法で可決、復活 【フランス】 2008年12月29日


2008年7月、裁判所の判決により無効とされた、2006年に改定されたサンテミリオン(Saint Emilion)の格付けが、フランス上院で修正財政法の一部として通過し、復活した。

サンテミリオンの格付けは、10年に一度見直しが行われることになっており、直近の改定は2006年だった。

2006年の改定では、いくつかのシャトーの格付けの入れ替えが行われたが、その根拠が不明確だとして、裁判所は違法の決定を下し、2006年の新しい格付けは破棄された。

裁判所の決定以降、公式にサンテミリオンの格付けは存在しないことになったため、急遽それまで使っていた1996年の古い格付けを復活させたという経緯がある。

今回のフランス上院での法律の通過で、無効とされた2006年の格付けは、法的なお墨付きを得たことになる。

2006年の格付け復活の背景には、2006年の改定で新たに格付け入りを果たしたり、より上位の格付けを果たした8つのシャトーの救済があったことは想像に難くない。事実、彼らは格付け復活のための強力なロビー活動をしてきた。2006年の格付けが無効にされたことによって、より良い格付けを得ようと努力してきたそれまでの10年間が水の泡と帰したとする彼らの主張は理解できる。

しかし、2006年の格付けの入れ替えに関しては、疑問符を投げかける論調が多かったのも事実だ。2008年7月には、裁判所は格付けの基準や根拠が明確でないとして、格付けそのものを無効としたわけだが、今回の立法措置で果たして格付けの基準が示されたのかどうか、気になるところだ。

たしかにボルドーワインでは、今でもワインに格付けがあるのとないのとでは価格に差が出る。それが上位格付けともなれば、その価格差は増大する。したがって、シャトーにとっては、格付けが得られるかどうかは、経営上大きな関心事に違いない。しかし一方で、誰かが設定した権威は、昔ほどの神通力がなくなってきていると見る向きもマーケットでは多いのではないだろうか。

ましてやその基準がはっきりしないということが広まればなればなおさらだろう。

(伊藤嘉浩)


【追記】(2009年5月19日)

サンテミリオンの格付け問題の最終的な決着は、2009年5月19日記事『サンテミリオンの格付け問題の悪夢、最終的に決着』をご覧ください。



【関連ページ】

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