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ニュージーランドワインにも試練の時代が 【ニュージーランド】 2011年8月29日


この10年、順調な伸びを示してきたニュージーランドワインも、需給のバランスを考えなくてはならない時期かもしれない。

New Zealand Winegrowers' Annual Report 2011によれば、2011年7月までのニュージーランドワインの総販売量は、2億2100万リットルで前年同期比で11パーセントの伸びとなっているが、販売額では11億NZドルと5パーセントの伸びにとどまっている。とりわけ顕著な伸びを示しているのがバルクワインの出荷だ。

それに引きかえ、ボトルのワインの販売は苦戦している。これまで国内外のワイン販売の好調な成長とともに、ニュージーランドではワイナリーとぶどう園の拡大が続いており、2011年のヴィンテージでは、過去最大のワイン生産量となっている。

2008年以前は、成長に何の問題もなかったニュージーランドワインだが、2009年以降はそれまでのような高成長は徐々に影を潜めてきているのに加えて、このところのニュージーランドドル高が輸出の大きな足かせとなっている。

その結果として供給過剰の場面が散見され、取引価格の下落を招いている。またそれに伴って、バルクワインの取引が増加し、価格下落を助長している。

ニュージーランドワインのおよそ6割は国内消費だが、4割は輸出で国外が大きな販売割合を占めている。その中でバルクワインの占める割合は、2010年には28パーセントとなり、2009年の22パーセントから6ポイントも増えている。

2010年のニュージーランドワインの輸出国の上位は、1位イギリス(33%)、2位オーストラリア(30%)、3位アメリカ(21%)、4位カナダ(5%)でこの4か国で全体の89パーセントを占める。次いでオランダ、アイルランド、シンガポール、中国、香港、デンマークとなっている。ここでも期待の星はやはり中国だ。日本も数字は非常に小さいが伸びている。

ニュージーランドは冷涼な気候を活かして、ソーヴィニオンブランやピノノワールといった、世界の多くのワイン産地が参入しているシャルドネやカベルネソーヴィニオン、メルロ、シラーといったワインとは一線を画したワイン戦略をとってきた。

これ自体は価格競争に巻き込まれづらい、独自性を優先させた優れた戦略と言えるが、現在の世界経済とワインマーケットの環境下では、供給過多の部分が出てきているようだ。

しかし見たように、ニュージーランドワインは、まだ世界のワインマーケットに幅広く配下されてはいないため、これからの拡大の余地は非常に多いと言える。日本市場への更なる導入を期待したい。

(参考)
New Zealand Winegrowers' Annual Report 2011



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